2016年1月10日日曜日

レビュー「バカとテジナとダメ技法」


キジュツ同好会さんのレクチャーノート(?)のレビューです。



初めに、レクチャーノートのレビューを見る理由が「戦力として使える手品を探しているから」という方。
読まなくて良いです。そのいうやつは1つも載ってません。

また、「画期的な原理や斬新な現象に出会いたいから」という方。
少しおもしろく感じるかも知れませんが、やはり別に読む必要はないです。
そういう感じのレクチャーノートです。


全体が3章に分けられており、それぞれの章に合ったダメ技法が全部で11個解説されています。


第1章 何も起こらない


●フォールス・コンビンシンス・コントロール No.1(belka)


カードをデックの中ほどに戻すと、何も起こりません。
正確には少しデックの並びは変わりますが、概ね何も起こりません。
何も起こらないので、特筆して書くことはありません。


●フォールス・コンビンシンス・コントロール No.2(ノシタマサシ)


先ほどのbelka氏によるNo.1の、別手法によるアプローチです。
なので、やはり何も起こりません。
No.1と比べると、デックの並びの変わり方が少し違いますが、デックの中ほどに戻したカードについては、何も起こりません。


●何も起こらないダブル・カット(ノシタマサシ)


カードをデックの中ほどに戻し、少し混ぜますが、何も起こりません。
先ほどの「フォールス・コンビンシンス・コントロール」2種類は、デックの中ほどに戻したカードには何も起きないのですが、ノーモーションで少しだけカードの並びが変わりました。

この「何も起こらないダブル・カット」は、少し混ぜるというワンモーションが有るのですが、デックの配置にも何も起こりません。
でも断っておくと、フォールスシャッフルとしての機能はほぼ無いです。

「ちょっとデックの並びが変わっても良いからノーモーションで何も起こらない方法が良い!」
というのであれば「フォールス・コンビンシンス・コントロール」を、

「ワンモーション有っても良いから本当に何も起こらないで欲しい!」
というのであれば「何も起こらないダブル・カット」を使うと良いのではないかと解釈しました。


●ノンコントロール・ダイアゴナル・パーム・シフト(ノシタマサシ)


カードをデックの中ほどに戻すと、何も起こりません。
「フォールス・コンビンシンス・コントロール No.1」と同じ状態になると思いますが、カードを戻す動きが異なるので、場面に応じて使い分けると良いと思います。

この技法に関しては、補足として細かい動きについて詳しい説明が有り、何も起こらないようにする方法が親切に解説されています。



第2章 使いどころが分からない


●ミハルス・ムーブ(ノシタマサシ)


手の中からカチャカチャと音を出す技法です。
一応その手が空であることを示せるような雰囲気が有るのですが、その現実的な解決策についての解説はなげやりです。

補足として、技法の名前に使われている「ミハルス」について解説されています。
あとは、漢(オトコ)ならどうすべきかという意気込みが書かれています。

 

●スピル・アウト・シャッフル(ふー)


リフルシャッフルしようとしたら、失敗して机にバラバラーとこぼしちゃうことってありますよね。アレです。

一応、何も起きないわけではなく、少しだけ効果があるのですが、確かにどこで使うかと言われれば思いつきません。


●ドライスキン・パス(ふー)


乾燥肌にしかできないコイン飛ばしです。
これならマッスルが無くてもできそうですが、僕は手汗をかくのでムリですね。

でも、補足として、手汗を抑える方法が解説されていました。



第3章 ダメ技法の向こう側


●サム・バニッシュ No.1(ノシタマサシ)


コインを消すときのミスディレクションの掛け方に関するアイデア。
詳しくは書けないのですが、これは気がふれちゃったかな?と思います。

補足では、道具の選び方について詳しく書かれていますが、それを読むと、なんで僕はこんなに真面目に読んでいるんだろう?と考えてしまいます。


●サム・バニッシュ No.2(ノシタマサシ)


No.1とはまた違うアプローチの、ミスディレクションのアイデアです。
もう何を言ってるのか分からない感じです。

ただ、これを手じゃなくて顔でやるバリエーションは、鬼喜王子さん(現・雷人さん)がマジックバー「十二時」で実際に使っているのを見たことが有ります。
だからと言って有用な技法ではなく、ダメ技法だと思います。


●闇堕ち(たむたむ)


コインが変化します。すごい。
何がすごいって、詳しいやり方が書かれていないんですよ。
コインの動きと手の動きだけが書かれていて、あとは「上手くやります」みたいな解説です。

これはできないだろ、と思ったら、本人が「無理」ってコメントしてるんですね。
そうか、できない技法なのか、じゃあ仕方ないな。って感じです。


●奈落(たむたむ)


先ほどの「闇落ち」を、さらにできなくなるように改良したものです。
かわいそうですね。



全体


同人誌としての頒布ですが、よくもまあこんなものを世に出したなと思います。
キジュツ同好会さんは、手品界のエド・ウッドでも目指しているのでしょうか。
本当に酷いレクチャーノートでしたので、次回作があればまた読みたいと思います。



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