2013年9月18日水曜日

ラファエル・ベネターの「友達の好きなカード」



便利な即興カードマジック。
先日、知人とちょっと話題になったので旧ブログから転載です。




行きつけのバーで飲んでいると、そこに来る他のお客さんとお話したりもします。
すると話の流れで、実は私は手品をする人なんです、という話題になったりもします。
僕の場合多くは、下記の流れですね。

他の客「隣の女性は?」
僕「あ、妻です。」
客「あ!結婚されてるんですか!」
僕「ええ。」
客「良いですね~、どこで知り合ったんですか?」
僕「あ、大学の先輩後輩なんです。」
客「へえー、サークルか何かですか?」
僕「そうですね。同じサークルでした。」
客「何のサークルですか?」
僕「ええっと、実は、手品、マジックサークルなんです。」
客「ええっ!?手品するんですか!?」
僕「はあ、まあ。」
客「ちょっと、何かやってくださいよ~」

これです。
飲みに行くときは手品道具は持ってないので、こういう場合は大体「今日は何も道具を持ってないんですよ~」と流すのですが、バーという場所は、なぜか知らないですがトランプが置いてあるものでして……お客さんの「マスター、トランプない?」のコールでマスターからトランプを手渡されます。

前置きが長くなりましたが、こういうときに僕が決まってやっているトリックがあります。ラファエル・ベネター氏の「友達の好きなカード」というトリックです。


まず、現象を説明しますね。


1人目のお客さんに、好きなカードを聞きます。
例えばハートの3だったとしましょう。
2人目のお客さんにも、同じように好きなカードを聞きます。
スペードの6とします。
そして、マジシャンも好きなカードが1枚あると言い、それを取り出します。
ダイヤの9とします。
この3枚は全然関係がない3枚のように思えるのですが、実は密接な関係が有ります、と説明します。
そして、マジシャンが取り出したダイヤの9を、2人のお客さんのどちらか(あるいは3人目のお客さん)に、デックの中ほどに差し込んでもらいます。
すると、ダイヤの9が差し込まれたその両隣のカードが、ハートの3とスペードの6なのです。


さて、バーでこのようなシチュエーションだと、トランプのコンディションがまるっきり不確定です。エンボスが有るのか無いのか、ブリッジサイズかポーカーサイズか、どのくらい使い込まれたトランプか……なんだかおしゃれな、透明なトランプの可能性もあります。

全部揃っているのかについては、マジシャン的には心配になるのですが、バーに置いてあるトランプは遊ぶためのものなので、全部揃ってなかったら話にならないのです。なので、大抵全部揃ってます。
揃ってない可能性がある場合、例えば相当の期間放置されていて、ちゃんと使えるトランプかどうかをマスターも知らないといった場合、マスターから「全部揃ってないかもしれませんが……」と声をかけられると思います。

「友達の好きなカード」は、そんなカードのコンディションにほとんど左右されないという特徴を持ったトリックです。全部揃ってなかったら若干の問題点があるのですが、まあそれでも大丈夫です。
また、この手品はお客さんが2人以上いる必要があるのですが、そういうノリになるときは大抵声をかけてくださった方もグループで来ていますので大丈夫です。そうでなくても、そのお客さん+マスターで2人は確実に居ます。


借りたトランプで即興的にできるため、まさにこういうシチュエーションに適したトリックだと思います。
トランプのコンディションによってはそこから別のトリックに繋げることもできるのですが、そんな会話の中でのシチュエーションでしたら、割とインパクトのあるこのトリック1つで手仕舞いにする方が、なんとなく粋かな、と考えています。

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