2024年6月10日月曜日

レビュー『da capo 1』


Werner Miller『da capo 1』のレビューです。

このシリーズはWerner Miller 氏が過去に雑誌等に発表した作品をまとめた作品集で、全6巻となっています。
そういった性質から、全体的に雑多な構成になっているのですが、良く言えば読んでいて飽きにくいです。
また、魔方陣の作り方などの手品でない作品が載っているのも特徴です。

それでは中身をレビューしていきますが、手品でないものについては省略します。
面白かったやつには★マークを付けます。


・Under Down Puzzle
アンダーダウンを繰り返したときに起こる性質。
原理は少し興味深いですが、使い道が思いついきません。

・PP-AA-II-RR-SS
フルデックで、同じスートのペアを次々作っていく。
操作が独特な割に現象が弱いです。セットはちょっと面白いかもしれません。

・Update on an Old-timer
12枚のカードで観客が覚えたカードのペアを演者が見つけていく。
『ear marked』にも同様のアレンジがありましたが、こちらのほうが良くできています。
数理的な構造も綺麗です。

・Court Couples
クイーン4枚とキング4枚で、ロイヤルマリッジを作る。
原理はシンプルなのに、途中の操作がややこしすぎます。

・Double Match
カードを配り分けたトップのカードが枚数と一致する。
原理は上手く噛み合っているので、演出次第で面白くできそうです。

・Add the Values
テーブルいっぱいにカードを広げて、48をフォースする方法。
あまりにも大層過ぎて使いようがないです。

・A la Hofzinser – Plus
お客さんが持ち上げたカードの黒と赤の枚数を当てる。カード当てもする。
数理的には面白いですが、カード当てはどう考えても余計です。

★・Focused
ESPデックを5つの山に配り分けると、1つの山だけシンボルが同じになる。
わお、こんなことが起きるんだ。感心しました。

・Mathemagician’s Delight
2枚のカードのランクを、計算結果から一気に当てる。
2桁の数で2枚一気に当てるという意欲作です。

・A Miraskill Variation
ミラスキルのバリエーション。
素数にちなんだ設定ですが、あまり筋が通っていません。

・Hypothetical Card
指定したカードが出てくるセット。
その1ではサイコロを使った方法が投げやりで、その2はセットが投げやりです。
原理を一般化して拡張できれば有用になると思います。

★・Unconventional Card Dealing
13枚のカードで繰り返しジグザグディールすると、何も起きない。
原理もすごくて面白いです。演者のキャラクターが合えば、なんと実演可能な作品です。

・Page 98 – 14th Line
98と14をフォースする。
ブックテストに使えるフォースだそうですが、使えません。
ただ使われている特殊スタックは興味深いです。

★・Swimming With Frederica
演者と観客が同じ操作をすると、エースとキングが出てきます。
面白いです。エースボナンザ(Poker Player's Picnic)の正当な改案です。

・Out of the Ordinary
ESPカードを使った予言。
演じる側の負担も大きく、ちょっと苦しいです。

・Square Shake
テンヨーのフラッシュダイスで魔方陣を作る。
フラッシュダイスの現象自体は、もう起きるものとしているのが笑えました。

・Leave Them Puzzled
フラッシュダイスを使って、お客さんの出した目を当てる。
これもフラッシュダイスの現象を認めています。
これが可能であるということよりも、こうしないと不可能であるということが興味深かったです。

・The Power of Seven
サイコロを支持にしたがって転がしつつ計算をすると、結果が7になる。
思った以上に面白くない数理構造でした。

・Fibo Die
フィボナッチ数を使って、観客が計算した和を当てる。
1001=7x11x13ということを使っていますが、別に面白くはないです。

・Brain-Twisting Divisibility
サイコロをごちゃごちゃやって出てきた数が37で割り切れる。
『ear marked』にも同様のものがありましたが、こちらのほうがシンプルで良いです。

・Die Compass
平面のサイコロの裏の目がおかしくなったりする。
まあ普通に矢印でやるほうが面白いと思います。

★・A Dog’s Chance
サイコロの目のカードと当たりのカードで操作をしますが、絶対に当たりにたどり着けない。
面白いです。プライムナンバープリンシプルの応用だそうですが、他の原理にも似ています。
かなり応用が利きそうです。

・Ostinato
電卓を使って1449275.3をフォースする。
絶対そうなるようにしただけですが、それにしても制限が多くて無理があります。

・Pythagoras’ Breath
電卓を使って。2人の観客が数えたカードの枚数を当てる。
2756=52×52+52ということを使っていますが、無理やりすぎます。

・Pythagoras’ Breath
ドミノが示す値と電卓の計算結果が一致する。
そうなるように調整しているだけです。

・Eight Objects
8つのオブジェクトのうち観客が思い浮かべたものを、目隠しで当てる。
原理はシンプルで、もはや記憶術のデモンストレーションです。

・Scrap Square
紙を切って魔方陣を作る。
手品でないので省略。

・Poster Square
魔方陣のポスターで、観客が思い浮かべた偶数を特定する。
もはやパズルというか、おもしろグッズです。

・Instant 5x5 Magic Square
好きな定数で5x5の魔方陣を完成させる方法。
手品でないので省略。

・Short Cut Squares
好きな定数で4x4の魔方陣を完成させる方法。
手品でないので省略。

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