マジケ2024冬【ナカムラアツキ&いくひろ】『Etude for Magician』のレビューです。
いくひろさんによるカードマジックのレクチャーノートです。
ひと続きに演じられる3つの手順が載っています。
手順をひとつずつレビューしていきます。
・The Easy Revelation
ビジュアルなエースの出現です。
簡単ではないですが、さらっと終わるオープナーで、この後の手順への流れを作っていると思います。
別のオープナーに差し替えることも可能なのだとは思いますが、これがちょうど良い重さだと感じます。
・Sorting Fabulous 4 Aces
デックの中に入れたフォーエースを取り出します。
エースを取り出すということは、やっていること自体はオープナーの「The Easy Revelation」と同じなのですが、かなり印象が違っていて良いです。
そして、裏で実現しようとしている構造がすごいです。
3つの手順の中ネタということで、複雑すぎず、あっさりしすぎず、絶妙な塩梅の空気感に整えられています。
・Any Suits Play It Straight
Play It Straightの一種です。
数理的な原理の一部を捨象した面白い構造が使われていて、こんな使い方ができるんだと感心しました。
ここまでの3つの手順のクライマックスとしてこれが演じられることが驚きです。
インパクトもある、完成された手順です。
全体として、3つの手順が流れるように繋がって、クライマックスへの動線を作っている、面白いレクチャーノートでした。
そういった意味で言うと、Helder Guimaraes のスリーアクト構造と似た印象を持ちましたが、スリーアクト構造が漸進的に構造を作っていくのに対して、いくひろさんは作った構造を守りながら進んでいく感じです。
それでいて、守りに徹して堅苦しくなっていないのがすごいです。構造にしなやかさを含ませているので、このような柔軟な流れにできるのだと思いました。
図が豊富で読みやすく、参考にした手順や考え方についても詳しく述べられており、読んでいて楽しいです。
マジケ初出展ということですが、これからマジケでレクチャーノートを出してみたい人にとってお手本になるような冊子だと感じました。
マジックマーケットの期間中、オンラインのショップページで買うことができます。
ちなみに、いくひろさんはもう1冊『Eccentric Coin Magic』というコインマジックの冊子も出されています。(こちら)
コインのほうはもっと攻めた感じで、尖った面白さがあるのですが、演じるかというとちょっとハードルが高い部分があるので、個人的にはどちらかというとカードのほうがオススメです。
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