2024年6月6日木曜日

レビュー『Further Tricks Without Names』


Werner Miller『Further Tricks Without Names』のレビューです。

TWNトリロジー(そんな呼び方をしているのは私だけ)の最後の巻です。
1作目『Tricks Without Names』のレビューはこちら。
2作目『More Tricks Without Names』のレビューはこちら。

もちろん今回もLybraryで無料で手に入ります

そしてもちろん全部読んだので、レビューしてみたいと思います。
良いかも知れないものに★マークをつけました。
今回は、原理が面白いなあというやつが結構あった気がします。


#41★
ESPカードを配り分けると、同じシンボルが集合する。
循環構造を保つ仕組みの面白いアプローチで、応用の幅がありそうです。

#42
ESPデックをごちゃごちゃやって、同じシンボルを取り出す。
並びが一致する仕組みは面白いですが、見せ方がちょっと微妙かなという感じです。

#43
ESPカード10枚を使って、ペアを作ったり、お客さんの選んだシンボルを見つけたりする。
良いプロットですが、操作が特殊すぎてそのままは使えません。

#44
ESPカード10枚を使って、冗談を交えながらペアを作ったりする。
設定に無理がありますが、テイクワンからステイスタックを作る手法としては悪くないです。

#45
ESPカードを階段状にディスプレイして、お客さんの選んだシンボルを見つける。
都合の良い位置へコントロールするためのディスプレイの一種という感じです。

#46★
15枚のESPカードが整列する。
ファローシャッフルによる特定の位置のカードの挙動が、15枚のESPカードと非常に相性が良く、なおかつ循環構造も保たれるという、面白い原理です。

#47
ESPデックで、3枚のカードのシンボルが一致する。
操作が恣意的で良くないです。

#48
ESPデックから1枚選んでから、残りのカードをみんなに配り、みんなで同じ操作をすると、最初に選ばれたカードのシンボルがみんな出てくる。
この変な配り方に根拠が欲しいところですが、原理は面白いです。

#49
ESPデックを使ったタンタライザーで、2組のカードのシンボルがそれぞれ一致する。
捨て方が特徴的なタンタライザーですが、そうなるように配っただけ感が強いです。

#50
ESPデックを使ったタンタライザー。
ある意味#49のバリエーションですが、さらに無理があります。

#51★
ピアトニックESPデックを使った嘘発見器。
変形アンダーダウンの原理を上手く使っています。面白いです。
しかしピアトニックESPを使う必要があり、その割にセットの偏りがひどいです。
実は日本語ならもっと上手くできるので、上手く応用することで化ける手順です。

#52
ピアトニックESPデックから20枚を使って、選ばれたカードを当てる。
原理的に20枚だと上手く機能するのかと勉強になりました。
トランプでやるバリエーションが解説されていますが、実はそっちのほうが良いです。

#53
絵札をごちゃごちゃやって、ロイヤルマリッジを作る。
循環じゃないのになんで機能するの!?って一瞬思ったのですが、なるほど構造は循環じゃないのですね。感心しました。
もうちょっとシンプルにできる気がします。

#54
絵札をごちゃごちゃやると、ランクごとに集まる。
途中で変なことをするのがダメすぎで、これは原理として成り立っていないと言って良いと思います。

#55
10枚のカードをごちゃごちゃやってペアを作る。
これも成り立っていないと言えます。

#56
15枚のカードをごちゃごちゃやると、色が交互に並ぶ。
結果が意味不明で、現象があるのかどうかも怪しいです。

#57
10枚のカードをごちゃごちゃやると、並びが逆になる。
これも現象が無いです。

#58★
フォーエースをスペリングで捨てていくと、覚えたエースが残る。
変形アンダーダウンの原理の模範解答のような使い方で、名作です。
日本語でもできますが、確かに英語のほうが良いですね。完成されています。

#59
7枚のカードをごちゃごちゃやると、覚えたカードが残る。
これも変形アンダーダウンですが、上手くいくよう調整しているだけで、これは微妙です。

#60
白雪姫と7人の小人を混ぜると、白雪姫が残ります。
プロットは面白いですが、操作がちょっと独特です。
原理の一般化ができれば何かに使えそうですが、一般化するとどうなるんでしょう。気になります。


長旅がやっと終わりました。
次は『Enigmaths』シリーズか『da capo』シリーズを読みたいですね。

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