2016年6月24日金曜日

京都ライトハウスでのマジックショー



2014年12月12日に京都ライトハウスで行ったマジックショーの記録です。




京都ライトハウスに併設されている「鳥居寮」という自立支援施設のお祭りで、マジックショーをさせて頂きました。

お客さんは、全盲、弱視、晴眼の方を全部合わせて50名以上。
広い会場に5つのテーブル(1番〜5番テーブル)が配置され、演者は前に立って喋ったり、それぞれのテーブルを回ったりしながら演技を進めていきます。

ここからは、一体どんな手品をしたのか、その記録をひとつずつ書いていきたいと思います。


最初の演技は「旅行の手品」です。
5つの国を表した模型(アメリカなら自由の女神、フランスなら凱旋門、など)をそれぞれのテーブルに1つずつ配り、よく触ってもらいます。
そしてそれら5つの国のうち、どの国へ行くのがオススメかを、簡単な心理ゲームのような形で決めていきます。

それぞれのお客さんの心の中で「オススメの国」が決まったら、5つの模型を1番テーブルに集めます。
そして1番テーブルの代表者さんには、5つの模型が置かれたテーブルの上で、ミニカーを走らせてもらいます。
すると、ある模型の前でミニカーがピタッと止まってしまいます。(今回は自由の女神でした)
代表者さんに、心の中で決めた「オススメの国」がどこだったかを聞くと、なんとアメリカです。
さらに、他のお客さんにも聞くと、すべてのお客さんの「オススメの国」がアメリカだったのです!
という手品でした。

これはオープニングとして、非常に盛り上がりました。


次に、2番テーブルでチャイナリングを演じました。
3本の金属の輪っかを繋いでいき、そして1本ずつ外していくというシンプルな手順でしたが、分かりやすいようで反応は良かったです。
特に繋がる瞬間が面白いようで、外れる方を担当して頂いたお客さんからも、あとで「繋ぐのもやって」と言われたりしました。





3番テーブルでは、カード当てを演じました。
特製の点字トランプを使って、できるだけフェアな印象を与えられるよう工夫した手順です。

さて、鳥居寮は中途視覚障害の方の自立支援を行っている施設です。
つまり、点字が読めない方や、今まさに点字を練習している方もたくさんいらっしゃいます。
なので、誰か一人を指名してカード選んでもらった場合、たとえ点字トランプを使ったとしても、選んだカードが何なのか知覚できない可能性があります。
この点については想定内で、先天的視覚障害の方がいらっしゃるテーブルで、点字が読めることを確認した上でその方を指名しました。

しかし、ここで想定外の事態が起きます。
その方、なんとトランプのことをあまりご存じなかったのです。
スペードのクイーンについて「これはスペードなのかクイーンなのか?」と聞かれました。
どうやら、トランプは「それぞれに英語と数字のペアが書かれているもの」だと思っていらっしゃったようです。
これは実はその方に限ったことではなく、似たような反応をされている方が何人かいらっしゃいました。

視覚障害の世界ではトランプの認識がまちまちなのかもしれません。
一応現象は起きたのですが、色々と課題を残す結果となってしまいました。





4番テーブルでは「楽器の予言」を行いました。
これは細かく書くとあまり良くないので、ざっくりとだけ説明しますが、3種類の楽器のうち選ばれるものが予言されている、というものです。

以前にもやったことがあるのですが、今回は「音の面白さ」を強調するために、面白い音のなる楽器をチョイスしました。
具体的には「ベル(カランカラン)」「ラッパ(パフパフ)」「ビブラスラップ(ガラララーン)」の3つです。
手順も上手くいき、とても盛り上がったのですが、ビブラスラップがちょっとクセモノでした。
独特の鳴らし方をする楽器なので、その鳴らし方や特徴的な音にみなさんの興味が向いてしまったのです。
「鳴らしてみたい」という声が続出しました。
現在、ビブラスラップに変わる良い楽器を模索中です。


最後のテーブルでは、スプーン曲げを演じました。
これも以前からやっている鉄板ネタで、お客さんが持っているスプーンが、お客さんの力で曲がります。
それまで硬くてびくともしなかったスプーンが、グニャッと簡単に曲がってしまう感触に、みなさんびっくりしていました。



以上5つのマジックを、それぞれのテーブルを回りながら演じていきました。
現在ショーからかなり時間も経ち、改めて色々思い返してみると、もっとこうするべきだったなあとか、今ならこう改良できるなあという点がたくさん出てきます。
しかしながら、僕にとって初めての本格的な「盲学校マジック」のショーとして、手応えを感じる滑り出しだったと思っています。


京都ライトハウスでマジックショーをする企画は、前々から京都北ロータリークラブさんから聞いていたのですが、当初は
「会議室ぐらいの会場で、10人程度のお客さんを相手に」
という想定で話を進めていたので、打ち合わせで50人規模のショーと聞いたときには頭が真っ白になりました。
しかしせっかくの機会を活かさなくてはと、だましだまし準備を進めて行き、何とか無事ショーを終えることができました。
この経験を活かして今後も色々なところで、色々な形での盲学校マジックを実現していければ良いなと感じています。


※写真は京都ライトハウスのスタッフさんが撮影され、掲載許可を頂いているものです。
※鳥居寮祭の様子は、京都ライトハウスさんのページで紹介されています。




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