マジックマーケット2021冬にて頒布された【うたかたアレンジメント】ブース「不思議な飲み会」のレビューです。
「まちかね山の魔法」でその名前を知っている人も多いと思います、三原遊さんによる作品集です。
飲み会や謝恩会などのラフな場で最高の効果を発揮する手品が5作品載っていますが、途中途中に挟まれる「雑談」にも素敵なアイデアが溢れており、掲載作品数以上に得るものが多い冊子です。
順番にレビューしていきます。
・Air on the knee
膝に溜まった空気を鳴らす手品です。しかも、膝が入れ替わります。
やりたい……膝を入れ替えたい……!
とても簡単で、技法らしい技法は使いません。いや、ひとつ有る気もしますが、これは技法か……?
使う道具はペンケースなどに入れておけるようなものなので、常に持ち歩いておけばどんなときでも演じられて便利です。
こういうの大好きです。もう元が取れました。
…ひとつ目の雑談
ここでペンの手品が紹介されているのですが、これも良いです。これも、持ち歩けます。
道具の調達がちょっとだけ大変ですが、そこまででもありません。
お客さんに参加してもらって、そしてドーンとオチが付く良作です。
こんな感じで、雑談にも良いアイデアがたくさん出てきます。
・天使のいる場所
チョコボールを使った手品で、飲み会というよりはおやつタイムに適した手順です。
道具の調達が大変そうなのですが、ちょっとしたコツが書いてありました。本当?
手法やそのタイミングもかなり面白く、他の物にも応用が利きそうですが、パッとは思い浮かばないです。やはりチョコボールが最適ですね。
…雑談2つ目
「天使のいる場所」について、なぜ金でなくて銀なのかなと思っていたのですが、わかりました。
私は子供の頃、実は銀の方は当たったことがなく、1回だけ金の方が当たりました。なのでどのくらい出やすさが違うのかはあまりピンと来ていません。そんなに出ないんですね、金のやつ。
ですがその金のやつは、ちょうど缶詰が新しいのに変わったタイミングだったので、前のやつが欲しかったなあと思って交換しないままどこかにいってしまったような気がします。
みたいな話をしながら「天使のいる場所」を演じてみたいですね。
・あなたの大切なもの
ラストトリックのバリエーションに見えますが、どちらかというとサプライズメッセージをプレゼントするオシャレな演出のひとつといった感じです。
前半がしっかりとカードマジックなので、メッセージのサプライズ感が高まって良いと思います。
…雑談その3
即席のブランクカードのことは初めて知りました。覚えておきます。
スピーチであれを使うというアイデアは、いざというときに重宝しそうです。そういう意味での「いざというとき」って、急なことで消化不良なスピーチでお茶を濁してしまいそうなのですが、これを使うとものすごく強い印象を残して、場を盛り上げられそうで素晴らしいですね。飲み会に行くときはカバンに放り込んでおこうと思いました。
・野見宿禰
ティッシュとかを使った手品です。前半部分は飲み会の席で軽く演じる一発芸ですが、それが後半でちょっと本格的な手品になります。
用意する小道具も、取り回しやすく効果的で良いです。何より(ちょっと調べてみたところ)お値段が、飲み会ごとに誰かにあげるのはイヤで、でもここぞというときの贈り物としてはなんか違っていて、ちょうど親の飲み会に連れられて退屈そうにしている子供に演じたあと、もしも目をキラキラさせていたら「今日は来てくれてありがとうね」ってプレゼントしたいと思える金額です。
ちょうど良い手品です。
…雑談その4
「不思議な飲み会」の感想じゃないんですが、刃牙って何回か読みたいなと思って、結局読んでないんですよね。読む順番もわからない。
— 万博@盲学校マジック (@bampaku) January 4, 2022
武闘大会的な漫画だと認識して、コンビニ本をチラ見してみたら、猿と喧嘩してたんですよ。
で、感想みたいなのを調べてみると、死刑囚が強いとか。死刑囚が出るの?
刃牙を読もうと思いました。
・写真のやつ
写真に関する手品で、タネに触れてしまうので伏せますがあの人のアレと似た感じです(この後の雑談で引用されています)。
冊子に載っている手品の中で最もサプライズ感の強い作品で、上手く決まれば感激間違いなしです。
さりげなく、クライマックスのやつを複数用意して配るのを勧めていて、著者の良い人柄が浮かび上がります。
…最後の雑談
「写真のやつ」という手品の名前について書かれていて、これは素敵だなあと思いました。こういうのが真に良いネーミングセンスなのだと感じます。
全体的に、まさにちょうど良い手品の作品集です。
手品を大事にしながら"人"を大事にした作品ばかりだと感じました。
"人"というのは、演じるそのときのお客さんだけでなく、日常生活の中で関わる周りの人々すべてを含むと思います。
一生演じていける手品がまとまった、素晴らしい冊子でした。
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