マジックマーケット2021春で頒布する
「巨人の肩に触れる 盲学校マジック作品集」
に込めた思いです。
作品集の情報自体はこちらを参照してください。
小っ恥ずかしくて胸に秘めておこうかとも思ったのですが、このへんの話をした人から
「そういうのは言わなきゃ伝わらない」
と指摘されたので、冊子を作りながら思い出したり考えたりしたことなどを書きます。
冊子に書いたことと重複する部分もあります。
私が盲学校マジックというテーマに取り組むことになったのは、たまたま手品大好きおじさんが盲学校の先生になったから、というワケではありません。
むしろ真逆で、大学の2回生くらいの頃にこのテーマに興味を持ち、あまり何もできないうちに大学院に進学し、さて教員免許も取ったことだしちょっと聞いてみっかという気持ちで盲学校に電話したところ、色々あって教員として働くことになり、そこからせっせと取り組んだという経緯です。
「手品してみたいんですけど、何らかの形で盲学校に関われませんか?」って電話したんですよね。目の見えない人に手品した過ぎたあまりのカチコミ営業です。
そういうわけで、動き出した頃から勢いはありました。しかし、周りはそうでもありませんでした。
2010年、例えば大学入試では、まだ受験生の障害を理由とした受験拒否が普通にできた時代です。
その頃、色んな人に「盲学校で手品したい」って話をすると、多くが
「どうしてそんなことするの?」「なんのために?」
という反応でした。
「それはかえって失礼だ」「目が見えなくても楽しめる娯楽があるのに、なぜマジックなのか」
という意見もありました。
視覚障害者には視覚障害者のための仕事があり、視覚障害者のための学校があり、視覚障害者のための娯楽があって、晴眼者のそれらとは明確に区別されるという意識が普通だった頃です。
そんな社会の意識に大きな変化を感じたのが、「障害者差別解消法」が制定された2013年頃です。(施行は2016年)
この法律によって、公的な機関は障害を理由とした受験拒否、入店拒否、受付対応拒否などができなくなりました。
そして(視覚障害者に限らず)障害者が健常者と同等の権利を有するということが、少しずつ社会に受け入れられてきました。
もちろん法律ができたから社会の認識が変わったのではなく、変わっていく流れのひとつとして法律の制定があったのだと思いますが、実際の感覚として、このあたりを境に盲学校でも色々なことが変化したように感じています。
私が視覚障害者福祉施設でのマジックショーを実現できたのが2014年ですから、まさにその時期です。
思い返せば、盲学校マジックという小さな小さなテーマの中で、激動の10年間でした。
始めた頃はその情報の少なさから、手品はまだ、目の見えない人に演じる段階まで来ていないのではないかと考えていました。
でも手品を作ってきた巨人たちの業績は偉大で、それらを目の見えない人に演じると考えたとき、追い付いていないのは周りの方でした。
目の見えないお客さんに手品をするという、ただそれだけのことが受け入れられていく10年間を目の当たりにできたのは、本当に幸運だったと思っています。
もしまた10年後に次の作品集をまとめるなら、それはこの10年とはまた違った10年になると思います。
情報もなければ先人もいない、不安で、しかし最高に面白かった10年間の成果をまとめた1冊です。
ぜひ多くの方々に手に取って頂きたいと思っています。
マジックマーケット2021春で、1冊2000円にて50部頒布致します。
今回限りのオマケつきです。
マジックマーケット2021冬にて再販します!
今回はオマケは付きません。1冊2000円で36部です。
残部すべて出すので、これが売切れたらあとは電子版のみとなります。
よろしくお願いします!!
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