マジックマーケット2021春にて頒布された、かねだいち ブース「Naughty ghost」のレビューです。
かねだいちさんによるカードマジックの技法集で、ビジュアルなチェンジやフラリッシュ的な要素が強いです。
実は作者のかねだいちさんという方を全く知らなかったのですが、非常に面白そうだったので衝動的に買わせていただきました。
まず、収録されている4つの技法について簡単にレビューします。
1:pinkie slide change
カードをビジュアルに変化させる方法ですが、その名の通り小指を使います。
見ていると手が完全に不動というわけではないのですが、気にならない部分しか動いていないので急にカードが変化したように感じやすいです。
この方法だと、例えばデック全体を振ったり大きなミスディレクションをかけたりという必要がないので、ここぞというときに効果が絶大な技法だと思いました。
2:bait roll change
カードを投げるというか、落とす動きの中で行うカラーチェンジです。
解説をじっくり見続けると丁寧に動きを説明しているので、なんだかドッコイショ感があるように思えてしまうのですが、実際はカードをテーブルにポンと置くというか、リリースするような動きの中で自然に行われるカラーチェンジを意図されていると思います。(実際そういった趣旨の解説がされています)
これはフラリッシュ的に見せるというよりは、肩の力を抜いた中で自然な動きで見せられるビジュアルなカラーチェンジですね。
想像よりも簡単で、使いどころを選べばかなり便利な武器になると思います。
3:double pinkie shot
ドリブルから飛ばすショットです。
実質やっていることは普通のボトムショットですが、そのときの両手の位置関係が結構ユニークで、なかなか面白い出かたをします。
飛ばすこと自体は難しくなく、キャッチも慣れれば正確にできると思うのですが、スタイリッシュに見せようと思えばかなり練習する必要がありますね。
ショットからさらにもう1段階の現象ができ、色々な手順に応用が利きそうです。
4:throw back palm shot
めっちゃ面白い。手前に飛ばすショットです。
ジョークとしても使えますし、なんかメカニカルな演出でも使えます。
デックを何かに喩えるのもアリですし、マイムを上手く使って超能力的なパフォーマンスもいけます。
夢が広がる、非常に便利な技法ですね。
全体を通してまず楽しかった点として、「小指」というコンセプトがはっきりしていたところが挙げられます。(小指メインじゃないものもあります)
ひとつ筋の通ったコンテンツはワクワクしながら飽きずに見られますし、実用的な面でも、ある技法を応用すれば別の技法が練習しやすかったりと、非常に合理的です。
またそれぞれの技法に共通して言えることですが、指を使って飛ばしたりする技法というと、指筋マッチョの力こそパワーみたいな手法もしばしばあります。
ですが、かねだいちさんのこれらの技法は単純に筋肉にお願いするものではなく、もっと考えられています。
カードのコシやバネ、滑りなどをしっかり考慮した方法であり、手のちょっとした形や位置関係にもこだわりが感じられます。
なので、解説を見て「そんなもん人間にできるわけないやろ」みたいな感想にはなりませんでした。どれも絶妙にできそうで、やる気にさせてくれます。
総じて、かねだいちさんの考え方に触れられる、とても良いレクチャーだと思いました。
最初に書いたように、かねだいちさんという方を知らなかったので、このレクチャーを見たとき
「こんな面白い人、今までどこに隠れてたんだ……!」
と思いました。
実際は別に隠れていたわけではなくて、たまたま出会わなかっただけというか、単に私が見つけられなかっただけなのですが……
オンライン開催のマジックマーケットという場で、こんなにも素敵なものを考える人を知ることができて、とても嬉しいです。
次回作にも期待しています。
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