2021年7月13日火曜日

レビュー「妖異幻怪」と、おまけ

マジックマーケット2021春にて頒布された、たのしいそしなやブース「妖異幻怪」のレビューです。

Weeds やSilver star で一躍有名人となったK-GOさんの新作映像コンテンツということで、コイン中心なのかなと思いながら買ってみました。
実際、コイン中心ではあったのですが、それ以外でとてつもなく良い作品が収録されていたので、その辺について詳しくレビューしていきたいと思います。

ちなみに前作「Silver star」ですが

とても良かったのにレビューも書かず、ツイッターでも上記の1ツイートでしか言及していませんでした。ひどい話です。

「Weeds」に至っては、買おう買おうと思いながらずっと買い忘れ続けて(本当)、マジケ2021春のあとにマジックショップで買いました。
レビューのおまけとしてこの記事の最後に少し感想を書きます。


ここから「妖異幻怪」のレビューです。PDF掲載順に書きます。

・Leakage

いきなりですが、これが今回の作品集のメインコンテンツだと思います。
メジャーカップを使った、カップと玉の手順です。
これだけで充分、面白い道具を使ったセンセーショナルな手品なのですが、手順の構成が非常に丁寧で、よくできています。

カップアンドボールでは通常チャーリーミラームーブを使うような、玉が上から下へ貫通する現象で構成されています。
なんせメジャーカップは手品道具として新しいわけですから、ギミックメジャーカップなど存在しませんし、自作も困難だと思います。
すると、スライハンドでなんか色々やってみて思いついた手法の詰め合わせとかになりがちだと思うのですが、この手順ではスライハンドのみに留まらず、巧妙な工夫によって玉が"押し込まれて通り抜けた感じ"をビジュアルに表現しています。

解説をじっくり見ても、よくこんなこと思いついたな!となります。
奇を衒うような現象には逸れず、一本筋を通した貫通現象で、技巧のみではなく他の工夫も上手く組み合わされた美しい手順ですね。
新しい道具なのに、なぜかクラシックで本格的な印象を受ける名作です。
これだけでもう元が取れた。


・K-GO’s Ace Problem

ホフジンサーのエースプロブレム風なプロットです。

これはどっちかというと、途中では超能力的な雰囲気の演出が入るのに、最後はビジュアルさを重視した見せ方で、いまいち何がしたいのか分からない感じの構成だと思いました。
(何がしたいかって、このプロブレムへのアンサーを提案したいというのがすべてだとは思いますが)
途中の手法は、ラ〇〇〇〇ができないシチュエーションにおいて応用の可能性がある有用なアプローチだなと感じました。


・CCC

Jimmy Fan のChinese Coins & Ribbon と似た手法で行われる、Troy Hooser のChinese Charming Challenge(CCC) のプロットです。

Jimmy Fan の手順だと、CCCっぽくコインがペロッと取れるという型を忠実にやっている反面、3枚目でちょっと違う現象に逸れていました。
K-GOさんの手順は、コインがペロッと取れるというよりは、リボンからコインをプチッと取り外す感じになっており、また印象の違うプレゼンテーションになっています。

これが秀逸で、3枚目では有名なアレ(六角だったり双子座だったりするやつ)の手法が用いられているのですが、プチッと取り外す動きで1枚目、2枚目から一貫性を保ちつつ、3枚すべてをリボンから取り外すプロットとして見事に仕上げています。

非常に練られた手順で、ひとつの完成形だと思います。


・SpellBound Coin

銀貨、銅貨、チャイニーズコインの3枚に変化するスペルバウンドです。
特筆すべき点は、最初に1枚のコインをあらためつつ両手を示せることと、いろんな場所でいっぱいパ〇ムしたりしないことですね。

覚えやすい構成で、(1点を除いて)比較的簡単に目まぐるしくコインが変化する現象を起こせる手順だと思います。
その簡単ではないと思う点については、PDFでコツが書かれています。

3枚のスペルバウンドをひとつ覚えたいけど難しいのは困る!という人へのベストアンサーになりそうな手順です。


・Doppelgänger

3枚の銀貨がチャイニーズコインになり、また戻ります。
なかなか独特な動きの中で見せる部分が多く、その辺は好みが分かれそうです。

最後に元に戻る現象というのは、演出部分で上手く表現しないと結局何がしたかったのか分からない手順になりがちですが、これは演技中の間の取り方やお客さんの視線をどこに誘導するかなどで、割と何がやりたいのか分かる感じでした。

ただやはり動きが独特なので、使えるかどうかは演者次第という感じがしますね。


以上5作品が収録されていました。
全体を通して、古典になり得るほど細部まで寝られたオーセンティックな手品と、ビジュアル重視の今風で挑戦的な手品が混在しており、ごった煮というか、良く言えばバラエティ豊かなコンテンツです。

そんな特徴からも、K-GOさんがここ最近何を考えていたのかが伝わる、楽しい作品集でした。






おまけで、Weeds1.5の感想です。

最初は補助しながらでも良いから指のここをこの形にしましょう、みたいな段階で、私の指はそうはなりませんでした。
いや、そうなる人そんなにいるの?その形で保持できるか以前の問題。
身体的特性を活かした手品は最近ちょっと好きなのですが、できるかといえばできません。
たのしいそしなやさんって奇人変人の集まりなのだなあと再認識しました。


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