2024年5月19日日曜日

レビュー『続・カードマジックの果て』

マジケ2024春【テジナのハナシ】『続・カードマジックの果て』のレビューです。

前作『カードマジックの果て』の続編にあたる、今田航平さんによる珍作集です。
ふざけ散らかした作品ばかりが載っていると思っていたのですが、実際は目の付け所が独特な、きっちり完成された面白い作品集という感じでした。

カードマジックが3作品と、ボーナスとして過去に発表された作品のアップデート版が載っています。
以下、ひとつずつレビューしていきます。

・情報量が多すぎるカッティング・ジ・エーセス
カッティングジエーセスをやりながら、色々なことが起こります。
色々起こりすぎて楽しいです。参考動画があるのでそちらを見てみてください。


・オイル&クイーン
オイル&クイーンらしきものに関するアンサーのひとつです。
私も本来のオイル&クイーンの現象自体はあまり好きではないので、この手順はかなり好みです。
普通に面白い手順です。セリフ回しなどもしっかり練られており、勉強になります。

・The trick that might have fooled someone
特殊なアンビシャスカードです。
面白い!マジシャン同士で見せ合うとバカウケしそうなプロットですが、一般のお客さんに演じても成立する手順だと思います。
ジョークっぽい演出の部分が、実は手品の構造自体にも効いてきていて、めちゃめちゃ賢い手順です。


これらに加えて、ボーナスとしてトライアンフが載っています。
こちらも面白いです。なんというか、圧巻ですよね。

全体として、とても質の高い作品集でした。
それぞれの作品について、そのコンセプトや考案の経緯が詳しく書かれており、クレジット表記も充実しています。
脚注にも大事なことが書かれてあり、ふざけた宣伝文句に反して非常に学びの多い冊子だと思いました。
手放しでおすすめできる作品集ですが、ふざけ散らかして調子に乗ったイカれ作品集を期待していると肩透かしを食らうかもしれないので、そこだけ注意してください。

マジックマーケットの期間中、オンラインのショップページで買うことができます。
前作『カードマジックの果て』も再版されていますので、まだ読んでいない方はそちらもぜひ。前作のほうがふざけていると思います。

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