マジケ2024春【アリスとナカムラ】『VSアイデンティティ』のレビューです。
驚異の文章力で恐ろしい迫力のエッセイを書くALICEさんの、新作エッセイです。
これは正直、レビューが書けねえ……と頭を抱えた作品なのですが、それは決して取り上げる価値が無いということではなくて、むしろとても紹介したいのですが書けない、といった具合です。読んだ方は分かると思います。
がんばって感想を書いてみますが、章ごとに分けて書くのも変だと思うので、キーワードというかテーマをいくつか取り上げて、それぞれについて書く形で行きたいと思います。
・宗教
敬虔の念が深くなくとも、幼少期に触れた宗教的な観点というのは尾を引くものですよね。
私も(キリスト教ではないのですが)今となって考えればまあまあ宗教的な色の強い家で育ったので、実家で刷り込まれた感覚は今でも残っています。一種の呪いみたいなものに引きずられるのもまた、敬虔の念なのかもしれません。
・上履き
こういう話を書くためには思い出す段階が必要だと思うのですが、そうやって思い出しながら書くというのは想像を絶する大変さだと思います。よほどお腹が空いた状態で書かないと、何かが腹から戻ってきそうですし、脳にエネルギーが足りない状態で書かないとオーバーヒートしてしまいそうです。
・毛
自分の表面的な気に食わない部分を取り去るために、その内部の原因を処理しようというのは、根っこの部分でとても頭の良い人なのだと感じました。しかし金玉は表面にあるものの、原因はそこから始まる何か(ホルモンとか)だから金玉は内部と捉えているらしいのは面白かったです。表面は毛ですね。毛、何度も毛が出てきます。
・綿垣
誰でしょうか……
・クズ
どうしようもないクズのように語られるエピソードが、よく考えると真面目で偉いんですよね。何かと行動しているし、働いたりもしています。お金もきちんと払っています、たぶん。そして夜勤の話題のとき、通勤していますよね。通勤ってしんどくないですか?おそらく通勤するクズっていないと思うんですよ。通勤する人は全員すごい。
・手品
一応このエッセイは、ALICEさんがマジシャンになるまでのお話なのだと思うのですが(マジックマーケットですし)、その話は25ページ中で最後の5行でした。この5行には上履きも銭湯も毛も綿垣も出てきませんが、これまでの経緯すべてを含めて今のマジシャンとしてのALICEさんなのだろうなと思いました。
後半のインタビューは、HISAさんの部分はニッコリできるのですが、その先については何も書けません。いや、もう、なんなんだ。怖い。
同人誌なので、こういうのも有って良いのがマジックマーケットだとは思うのですが、みんな何かが怖くてこういうのは出せないってだけですよね。
ただこれは、ALICEさんが恐れを知らないから書けた話なのではなくて、ALICEさんが誰よりも色々なことを恐れてきたからこそ書ける話なのだと思います。なんだか前半のエッセイとも繋がりますね。
私はあまり何かに怯えることなくぬくぬくと生きてきたので、ただヒャーすごいなあと思いました。ALICEさん本当にすごい。通勤もしていたし。
こんな感じの感想で勘弁してください。
マジックマーケットの期間中、オンラインのショップページで買うことができます。
読んでない人はたぶん、この感想もなんのこっちゃ分からないでしょう。
ぜひ買ってください。
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