2024年5月23日木曜日

レビュー『Tricks Without Names』

Werner Miller『Tricks Without Names』のレビューです。

Werner Miller の無料コンテンツは、以前に『Deal Mix & Spell』をレビューしました。

今回もまた、Lybraryで無料で手に入ります。お得ですね。

やはりWerner Miller らしく数理的原理を用いた作品集ですが、今回は図も結構あって親切です。
しかしながら、各作品にタイトルがないので、どんな感じの作品なのかイメージがつかないまま解説が始まります。
そんな手品が20作品載っています。無料なのでとりあえずダウンロードした人も、大抵は積んでいるのではないでしょうか。

私は脅威のモチベーションで全部読んだので、レビューしてみたいと思います。

面白かったやつには★マークをつけるので、そこだけ読んでください。それで充分です。
なんなら、読むのは#12だけでも良いです。これだけはオススメです。


#1★
スペードのカード13枚を使ったスペリングのサンドイッチ。
悪くないです。よくできています。

#2
ESPデックを使ったスペリングの一致現象。
フルデック使うのに一致するのが3枚なのがもったいないです。

#3★
ジグザグディールとロールオーバーを繰り返して、お客さんの選んだシンボルだけ逆向きにする。
結果が綺麗でちょっと興味深いです。ジグザグディールの面白い使い方ですね。

#4
なんか色々やるとジャックを中心とした特定の並びになる。
結果から逆算してそうなるように組んだって感じですね。それにしてもこんな結果を望むのが奇抜ですね。

#5
スペリングでお客さんの選んだカードのメイトカードが出てくる。
前半はよく分からないです。後半は、モンジュシャッフルすることで#1の原理が使えるということで、これは面白いですね。

#6
お客さんの選んだカードを、カードのバックに書いた文字で当てる。
フォースを使ったカード当ての演出という感じです。原理もあまり綺麗ではないです。

#7
カードの魔方陣を使って残りのカードの枚数を当てる。
枚数を当てる現象なのに、最初に枚数を演者が勝手に決めているので、手品かどうかも怪しいです。

#8
ESPデックを使ったタンタライザーのサンドイッチ。
発想は面白いですが、配り方にかなり無理があって厳しいです。

#9★
中途半端な枚数でやるタンタライザー。
枚数設定が面白いです。特定の数のタンタライザーはオラクル原理に応用できるということですね。
獣の数字666になぞらえて6のカードを3枚使いますが、その演出にあまりピンとこないので、個人的には6のカードは4枚すべて使いたいです。
だとすると枚数は増えますが、成り立ちますね。

#10
4種のシンボルのESPカード20枚を使った一致現象。
シンボルを1種類捨てているのでもうESPカードではないですね。途中の操作も独特すぎます。

#11
ESPデックを使った、ダウンアンダーのサンドイッチ。
発想は面白いですが、同様の現象を起こすならもっと手際の良い方法がある気がします。

#12★
名刺に印刷されたサイコロの写真を使って、お客さんが頭の中で振ったサイコロの目を当てる。
おもしろい!!これは良いです。名刺に印刷しておけばいつでも演じられるダイスマジックですね。
この作品だけで元が取れます。無料ですが。

#13
4組20枚のESPデックを使った一致現象。
発想は面白いですが、3枚の一致なのが惜しいです。どうせなら4枚一致させて欲しかったです。

#14
ESPデックを使った、奇妙な配り方の一致現象
奇妙すぎて実用に耐えない。原理もあまり面白くない。

#15★
ダイヤのカード13枚を使った、2フェーズからなる手順。
フェーズ1は、ストラドルファローシャッフルのリバースフォワードファローを使ったサンドイッチで、こんなふうに機能するんだと感心できるような、面白い使い方です。
フェーズ2は要らない。

#16
2枚のカードから新たに作られるカードが出てくる。
スートとランクの組み合わせ2通りのどちらでも成功するのが面白いです。

#17
スペードの字札10枚を使って、選ばれるカードを予言する。
破綻するケースがありますが、工夫次第で回避できそうです。

#18
セットがちょっと違う#17のバリエーション。
お客さんが選んだカードを見せずに戻して最後まで使わないのが斬新で笑った。

#19★
ESPデックを使って、お客さんの選んだカードを探し出す。
トランプではできない、ESPカードならではの手法が使われていて興味深いです。
バリエーションのほうは、成立しないケースがある気がします。
バリエーションに誤植かと思われる部分が多くて、予想ですが……

#20
6枚のカードで演じるサンドイッチ。
プロットはシンプルですが、その割には手順がごちゃごちゃしているような気がします。
原理はちょっと面白いです。こういう使い方があるのか。


さて、実はこの『Tricks Without Names』シリーズ、現時点で第3弾まで出ています。
がんばります。

0 件のコメント:

コメントを投稿