レビュー「Hearts Assembly」

 

S. Takeyama氏(せぶんさん)の作品「Hearts Assembly」のレビューです。

せぶんさんの作品集『Seven Scenes Vol.2』(ダウンロード販売)に収録されています。

もともとは、マジックマーケット2019で頒布された「つぶやきぷろだくしょんRT」(ブース:らららこっぺだん)に収録されていたもので、その改訂版となっています。

現象は、トランプのハートのカードからマークを掴み取って投げ込むことで、マークが移動していくというシンプルなものです。

全体の流れですが、1段目ではまず「何をするのか」をお客さんがよく実感できるようなアプローチで説明して、2段目で本格的な移動現象を行います。そして移動したマークは3段目できちんと元に戻ります。

ハートを投げ込むという演出がとても可愛らしく、万人受けする手品だと感じるのはもちろんのこと、その細部が非常によくできており、完成度がめちゃくちゃ高くて驚きました。

一発ネタでなく、かと言って長すぎもしない、一番使いやすい重さの手順です。

導入が非常に自然で伝わりやすい手品ですが、スナック感覚でもなく2段目のクライマックスにはきっちりインパクトがあります。

レギュラーデックで演じます。最終的にマークは元に戻りますので、次に演じるの手品の邪魔にはなりません。

ありきたりな現象ではないので、手品を見慣れたお客さんでも新鮮味を感じると思います。

技術的にはそんなに難しくもないですが、結構面白いことをやっています。

もともとが即売会での頒布だったので、入手が難しくオススメしにくかったのですが、現在手に入る状況なので安心してオススメできます。

しかもせぶんさん、この Seven Scenes Vol.2 に関しては作品ごとのバラ売りもされているので、「Hearts Assembly」単品だと500円で買えます。

500円はすごいな。

まだこの作品の存在に気づいている人が少なそうで、こういうのを見つけるとヒミツにしたくなるのですが、これはなんだかカードマジックを演じる多くの人に知って欲しいと感じました。

いつか古典になりそうな、ちょうどレパートリーに入れたくなる名作です。