マジックマーケット2021春にて頒布された、かつや@徳島テーブルマジックの会ブース「イラストマジック1年生」のレビューです。
ひとつ準備しづらいカードを使う作品がありますが、そのトリックカードがなんと付属しています。
それぞれの作品をレビューしていきます。
それぞれの作品をレビューしていきます。
・Animal coincidence
アルド・コロンビーニのアニマルケーパーズの改案で、言葉のジョークが上手く噛み合って違った雰囲気になっています。
面白いのは、販売されていたアニマルケーパーズのカードセットでは"演じられない"というところで、単売のパケットをいじっていたら偶然生まれた改案ということではなく、きちんと考えられて出来上がったのだと思えます。
そこまでその動物にこだわるか、という感じですが、実際こだわるだけの価値がある手順です。
ナイスアニマルですね。
・サッカーサイコ version HK
厚川昌男のサイコ風なパケットトリックで、芸人さんのジョークが交えられています。用いられているジョークについては、我が家には長らくテレビが無いためよく分からないです。
芸人さんの顔以外にも色々なバリエーションが考えられる(と書かれていいる)のですが、顔写真を使うのは面白いと思います。
と言うのもこの手順は実質的には、演者がバックを上にしてカードを置いて、お客さんはフェイスを上にしてカードを置いているのと変わりません。しかし、顔写真というイラスト(?)と付箋の存在によって、演者もフェイスを上にして置いているような錯覚が生まれ、非常にフェアに感じられます。
ジョークマジックっぽい雰囲気で書かれていますが、サイコ風の手品の不思議さを高めるアプローチとして斬新で面白いと思いました。
・8かっぱブレインウェーブ
・8かっぱブレインウェーブ
ニック・トロストの8カードブレインウェーブの改案で、ジョークを挟んでいます。
他のバリエーションができないか考えてみたのですが、なかなか条件が厳しいので、この"かっぱ"というのが最適解かもしれません。
オチの演出が完全に8カードブレインウェーブなので、ここにも何か"かっぱ"にまつわる一捻りががあると更に良いのになと思いました。(パッとは思い浮かばないですが)
・シカゴのカメレオン
シカゴオープナーの改案で、非常にかわいらしい作品になっています。表向きはかわいらしい作品ですが、仕組みを見るとなかなかマニアックなことをやっています。
この作品で使うカードが付属していました。確かに、演じてみたいけれどこのカードを作るのか……と躊躇ってしまうような物です。
色が変わることの理由付けをとことん突き詰めるとこういう形になるのだなあと思います。なかなかできない発想で、それを練りに練って完成までこぎつけるのが「かつや流」なのかもしれません。
小さな子供でも非常に納得のいくオチで、終わった感がきちんと出るので良いですね。
作品集の中でイチオシです。
・WHICH IS CORRECT
だまし絵をテーマにしたジョークを混ぜつつ、アテモンで全部当たる手品です。
カードにだまし絵を描くのはなかなか厳しいため、印刷かシールの貼り付けで道具を作ることになると思いますが、カード以外にも必要なものがあり、そこまでみっちり準備して演じる手順か……?と思います。
それは決してめんどくさいということだけでなく、明らかに入念な準備をしているのが見て取れる演出だからこそ、そこまでやるということは結果は堅固に決まっているのでは?と疑ってしまいます。
演者のキャラクターや台詞回しなどでフランクな雰囲気を作ることはできますが、そこまでやっても道具から感じられる本気感がぬぐえません。
そういった意味でこれだけは、道具と現象とジョークが持つそれぞれの雰囲気がミスマッチだと感じました。
全体
読む前は、既存の手品のオチがイラストカードでジョークになっているようなヤツの寄せ集めかと思っていましたが、実際はしっかり考えられた本格的な手品の作品集でした。
なかなか他では見られないようなアプローチでの工夫もあり、非常に刺激的でした。
この作品集で「かつや流」に触れることで、新しい何かがひらめくかもしれません。
レビュー心より感謝申し上げます。
返信削除シカゴのカメレオンは自分もお気に入りの手順で、評価頂けるととてもうれしいです。
頂いた感想をもとに、さらに成長していけたらなと思います。
コメントありがとうございます!
返信削除とても楽しい作品集でした。次回作もぜひ!期待しています!!