マジックマーケット2021春にて頒布された、TANISHImagic ブース「Handwrite now」など5作品のレビューです。
・Handwrite now
時計をテーマにしたオシャレな作品です。
解決策はなんとなく想像していた通りでしたが、使用する道具について詳しく説明されていたので、とても参考になりました。
例えばタイトル画像にはボールペンが写っていますが、じゃあ鉛筆ならどうする?などといった別パターンについても解説されています。
例えばタイトル画像にはボールペンが写っていますが、じゃあ鉛筆ならどうする?などといった別パターンについても解説されています。
時計盤に見立てる丸い紙について、あとからツイッターで「コースターはどうか?」という話が出ており、それはとてもステキだなあと思いました。
原案はサッカートリック風の演出ですが、指摘から生まれたサッカートリックでない演出についても紹介されています。
私は原案のままが良いと思っています。その理由は本文に書かれていることとほとんど同じなのですが、例えばカードマジックで、
「お客さんに好きなカードを言ってもらった後、1枚引いてもらったら一致している」
「お客さんに1枚引いてもらった後、好きなカードを言ってもらったら一致している」
の2種類があったとき、後者の方が不思議だと思うんですよね。前者はそうなるように仕組まれた感というか、フォース感が出ちゃう。
Handwrite now のサッカー演出はジョークではなく、手続きの順番がより不可能性の高いものであったと思わせる効果を狙っており、安易に省くと改悪になってしまう部分だと感じました。
針のない時計盤に、観客に適当に書き入れてもらった長針と短針が、実在する時刻になってたら、ACAANとか、OOTWより不思議ということでは?
— こざわ/とひ (@t_aldehyde) February 8, 2021
ちなみに最後に引用されている、こざわさんのこちらのツイートですが、これは本文に書かれているような「時計の短針と長針が重なり合う確率」に関する話題ではなく、
時計ってすごく面白くて、長針と短針があって、あいつら適当に配置したとして存在する時刻を指し示すとは限らないんですよ。では、長針と短針をランダムに配置したとき存在する時刻を指し示す確率を求めよ。
— 万博@盲学校マジック (@bampaku) February 5, 2021
私のこの(ネタ)ツイートから始まる、短針と長針を適当に配置したとき存在する時刻を指し示す確率、に関する話題ですね。
・My prediction & God's revelation
予言の手品なのですが、解決策が非常にクレバーです。
この技法とこの道具を組み合わせて、この現象を実現しようという発想は、常人にはなかなか出てきません。
一箇所、カードを探す場面が力技に感じられました。私もこういう感じでカードを探す手順がレパートリーにあるので、実はやってみると案外よどみなく進められるということは知っているのですが、この手順だと探す動きとコントロールの動きがダイレクトにつながっているので、何かワンクッションはさめないかなあと考えたりしました。
手順面でも演出面でもアレンジが効きそうな手品で、いじっていて楽しいですね。
・Ring in Normal Shoelace
マジックマーケット2020にて頒布されたものの再販です。買ってなかったのでついでにポチりました。
ミニシューズってどこで手に入るねん!って思っていたら、100均にあるそうです。
ちなみに妻が言うには、履くに耐える靴を作るのは大変だけど、これくらいのミニ靴なら作れるそうです。すごいな。
どんなゴリゴリの手法で実現しているのかとビクビクしていたら、意外にもシンプルです。
使う道具も、家にアホほど転がってるもので事足りそうです。イチから揃えてもかなり安くすむと思います。
指輪が靴紐に通う手品ですが、ハイライトはお客さんにほどいてもらうところですね。実際に手に取って確認してもらえるのは本当に強いと思います。
意外とウケそうです。
・Page of Cards
数理トリック風の手品です。
現象だけを追いかけると、表向きの手続きが複雑な割に結果が地味という、取り立てて何も感じない数理トリックなのですが、この手品はそれだけではないです。
これ、結果として出てくる数字の自由度がべらぼうに高く、かなり色々な数字が設定できるのです。
つまり、お客さんの特別な何かにちなんだ数字を演出に組み込めます。
それだけで、地味だと思っていた結果がものすごくドラマチックなクライマックスへと変化します。
裏でやることは段取りの時点で9割完成しているので、久しぶりに演じるときでも失敗はほぼしないと思います。
いざというときに役に立つ、知っておいて損はない手品です。
・Card at the Number in Time
タイムマシンっぽい演出のカードマジックです。正確には時間逆戻し機って感じです。
こういう演出は大好きなので、表向きの現象としても非常に好みです。
途中で演者が提示する、ある数字だけ、なぜその数なのか納得できる理由があるともっと良かったなと感じました。
裏でやっていることが非常に面白く、かなり色々な現象に使えそうです。
早い段階のとても都合の良いタイミングでデ・・・・・・を行うことで、どうしてもセレクトカードのデ・・・・・・が生まれてしまうのですが、そのデックとセレクトカードの状態を、さあどう活かすか!と考えたときにタイムマシンっぽい演出は最適解だと思います。
技法や道具立て、タイミング、演出などが上手く噛み合った手品で、後世に残っていくべき作品だと思いました。
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