レビュー「こんせぷと」

マジックマーケット2023秋【こん】『こんせぷと』のレビューです。

レギュラーデックを使ったカードマジックが5作品載っている作品集で、事前の告知によると即興でできるものとスタックを使うものがあるということでした。

マジケでは、カードマジックのアイデア5つを収録した作品集を出展します。即興でできるものとスタックを使うものが収録されています。

— こん (@sougetsu_magic) November 4, 2023

まず、テキストの構成がとても良いです。
各作品の"こんせぷと"が明記されているので、どういった意図で作った作品なのかが分かりやすく、楽しく読み進められます。

また、テキストは簡潔な記述にとどめられているのですが、実演・解説動画がついていますので、最初は動画を見て、あとから思い出すときはテキストでさっと確認できるという構成になっています。
手順の細かいところを思い出すために毎回動画を確認するのは結構手間だったりするので、これはとても嬉しいです。

それでは、各作品を見ていきましょう。ちなみに先に言っておきますが、途中ですごいことになります。

・空想
観客のカードを想像の中で当て、それがデックの中でひっくり返ります。
これは面白いですね。想像の中でのやりとりが楽しく、もっとだらだらと遊ぼうと思えば遊べそうです。
最終的にに物理的な現象が起きるので、想像の中から飛び出すようなクライマックスもインパクトがあって良いです。
かわいらしい手品でありながら、きちんと実用的です。

・りせっと
リセットのバリエーションです。
どういうところに重点を置いているのかな？というのが最初は分からなかったのですが、テキストの"こんせぷと"を読むと、なるほど納得できました。

・たわごと
ふたりのお客さんのカードを直感で当てます。
結構すごいと思います。少しストレスになりそうな手順ではあるのですが、慣れるとそこまで神経を使わずに演じられるのではないでしょうか。
実演を見ると、アンラッキーパターンが有るのかな？と思ったのですが、まさかあのめちゃめちゃ自然だった実演動画が……だったとは。
うまくできた手順でした。

……と、まあ、ここまでの3作品なら、アマチュアマジシャンさんのカードマジック作品集だなぁという感じですね。
もちろん全然悪くないですし、動画コンテンツもついているのですが、この感じで軽い5作品が1500円と考えると、どうなのかなーとか思っちゃう部分もあるじゃないですか。
実際、そう考えて今回は買わなかった人もいるんじゃないですかね。

いやー、本番はここからでした。
びっくりです。
続きのレビューにいきますね。

・こんた
フルデックのオリジナルスタックです。
……え？オリジナルスタック？？
何このスタック？どういうこと？何がどうなってこのスタックになってるの？
どういう構造？どういう原理？何に使えるの？さっぱりわからない。
何を食ったらこんなのが思いつくの？
実際組んでみてデックとにらめっこしていると、まあちょっと特徴的な部分はあるものの、ぱっと見はランダムですね。
ただ何に使うのかも分かりません。
頭にクエスチョンマークをたくさん浮かべたまま、続きを読んでみます。

・占い
メイトカードがマッチングします。
ああー、こういう風に使うのね、なるほど。という感じの手順。
こんたのデモンストレーションですかね。
ちょっとくどくやると、手続きの不整合性が露見する場合もありそうでこわいですね。
でもまあ、こういう手順もあるよ、ということで。

・行き当たりばったり
お客さんのカードを、ラッキーナンバーで見つけます。
なにこれ！？！？
どうなってるの？なんでこうなるの？
確かに成立しているけれども、その数理構造がわからない。
こんたすごい。どんな思考過程でこのスタックにたどり着いたのか。
いやー、こういうのが好きな人なら、この1作品で1500円の元が取れますね。
すごい作品です。

全体として、オリジナルスタックというのがまずすごいですし、マジックマーケットらしさもありつつ、その手順がもう理解の範囲をぶち抜いています。
こんなすごい作品集なら、ちゃんと初日に見てレビューを書くべきでした。申し訳ない。

もう今回のマジケの期間は終わってしまったのですが、次回のマジケでぜひ再販してください。初日から宣伝します。
っていうか、このスタックの部分をもっと推してください。すごいので。

良いものを見ました。これが1500円なら、間違いなく買いです。