2013年5月22日水曜日

6冊目~Dancing!~


学生マジシャンに読んでほしいこの10冊、6冊目……?
いえ、今回はこの「1冊」じゃありません。DVDの紹介です。

I Hate to Exercise I Love to Tap[DVD]
Bonnie Franklin
2004年 Kultur Video
¥1,725




~ダンスを勉強したい!~


これまで若いマジシャンさんが手品以外に「身につけたい!」と言われる色々なスキルについて紹介しました。
パントマイム、話術、演劇、演出法、腹話術(?)、などなど……
そこに1つ抜けていた、多くの方が会得したい技術のひとつである「ダンス」について、今回は紹介したいと思います。

ダンスの本も、やはり数多く存在します。どのような本が自分のスキルを有効に伸ばせるのか分からず、なかなかそんな本にめぐり逢うことは難しいでしょう。
それもそのはず。他のスキルと比べてダンスにさすがに本読むだけではなく、「見る」ことをしないと何が何やら分かりません。自分で実際にやってみるにしても、まず一度見てみないと話にならないジャンルだと言えるでしょう。
なので、こればっかりは無理やり本を一冊紹介するより、映像媒体としてDVDを紹介します。もちろんどこかで習うことができたらそれが一番良いのですが、そうもいかない方のための記事ですから。


~ダンスの入門としての「タップダンス」~


ダンスにも色々有ります。ですからどんなダンスを習得するべきか悩むと思います。
演劇される方の中には手を出しやすいダンスの一つとして、コンテンポラリーダンスを嗜む方もちらほら居るようですが、コンテンポラリーダンスは手品に直接活きてくるスキルだとは私は思いません。
もちろん1つのジャンルの芸を一生懸命磨くことは素晴らしいことですし、コンテンポラリーダンスをしっかり習得すれば、それは必ず手品にも活きてくることでしょう。でも、初心者が本の少しかじるためのジャンルとしては、適してないと思います。

もっと簡単に、敷居が低く、そして直接手品に活きてくるダンスとして、私は「タップダンス」をおすすめします。

ダンスを習得するといってもマジシャンですから、舞台上で縦横無尽に踊りたいというわけではないでしょう。ダンスの中からマジシャンが会得したいものというと「体の使い方」「リズムのとり方」「曲との合わせ方」「ステップ」なんかが主だと思います。
そうなるとタップダンスは、他のダンスと比べて以下の利点があります。

・初級段階では手ではなく、足の振り付け(ステップ)が主となる。
手品では当然「手」を使いますから、他のダンスで会得した手の振り付けは、手品の中ではいくらか制限されてしまいます。がんばって会得することは素晴らしいことですが、反面ロスが多いとも言えるでしょう。タップダンスでは初級段階で、そのロスを最小限に押さえられます。

・ある程度上手くできているかどうかが判断しやすい。
他のダンスは、振り付けを覚えるのが簡単なものでも、振り付け通り動いたところで「ちゃんとできている」のかどうか自分で判断するのは難しいです。タップダンスはその点、タタタン、タタタンと音がするので上手くできているのかどうかが分かりやすいです。
これができたら次はこれ、といったステップバイステップな練習をする場合、「できた」ことが判断できるのは重要なポイントです。それが可能な分、タップダンスは段階を追ってモチベーションを保ちながら練習するのがたやすいです。

・曲にあっているかが分かりやすい。
タップダンスはタタタンと音がするので、できているのか判断しやすいのですが、逆に、曲にあっていないとそのズレがダイレクトに分かってしまいます。なので曲との合わせ方をシビアに練習することができます。
ある程度それができるようになったら、曲の中でのここぞというポイントに手品の現象部分を持ってくる「打点を合わせる」イメージもつかめてくると思います。

どうでしょうか。
本DVDのBonnie Franklin氏は長年Donald O'Connor氏(雨に唄えばなどで有名な)の相方として活躍されていた方で、舞台上で「魅せる」ステップのエキスパートです。
このDVDも、いかに簡単な練習で(つまり、いかにサボって)かっこいいタップダンスを、楽しく習得するかに重点を置いたソフトです。ぐんぐん上達する自分を楽しみながら、飽きることなくイチから練習することができるでしょう。

タップダンスを練習するからといってタップシューズやタップボードを買う必要はありません。別に舞台で実際にタップダンスをするワケではないのですから。体の使い方や曲との合わせ方を練習するだけなら、スニーカーで充分です。
もっと言えば、このDVDを見るだけでも曲における「打点の合わせ方」なんかはわりと勉強にはなると思います。
個人的には、しっかりチップのついたシューズを履いて、ボードの上でタタタン、タタタンと練習する方が楽しいとは思いますが、まあ……お金がかかりますし、うるさいですからね。

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