2013年5月22日水曜日

レビュー「The Secret Garden」



2012年12月15日に行われた、京都大学の第2回学外公演
「The Secret Garden」の感想です。



第1部



1: I LOVE STAGE


ダイナミックに動くパラソルの演技でした。
ノリノリに動いている割に、曲に合わせる気は全く無いんだなぁと感じました。
ある場面で、照明をスポットだけにして、スポットが演者から外れた瞬間にシークレットムーブを行うというのは、反則な気もしますが斬新な方法だなと思いました。
全体的に動きはガサツな印象でしたが、勢いがあってそれもアリかなと感じました。


2:Akatsuki


カラーカードのマニピュレーションでした。
すみません、あんまり覚えてないです……
思い出したら書き直します。


3:Something White


ウォンドのマニピュレーションでした。
タイトルから、白にまつわる何かだと思って挑んだのですが……
赤かったです。もう、感想としてただ一言、赤かった……
そのあとカラーチェンジもしていたらしいのですが、色弱にはちょっと何が起きているのかよく分からない色の変化でした。
つまり、会場に居た男性の20人に1人は、途中で何も起きていない場面が続いていたということです。
この割合をどう捉えるかは演者の自由だと思いますが、そんな20人に1人のうちの1人の感想として、すごく退屈でした。


4:赤○


シガレットのマニピュレーションでした。
やはり見えにくという難点を抱えた演目であり、それは致し方無い部分ですね。
後半にタバコの箱でマニピュレーションを行っていたのは、斬新でおもしろいと感じました。
箱の部分は短時間で、ただ出てるだけといった感じでマニピュレーションとまでは行っていなかったのですが、今後の発展を示唆するおもしろい演技でした。
途中でディライトを用いた演技の部分が有ったのですが、どうしてもその光がイミテーションの域を出ず、チープに見えてしまいました。
すると、タバコに点いた火もイミテーションなのかな、とか、本当は火を点けていないんじゃないかな、という思いを持ってしまい、シガレットの持つ「火の点いたタバコのマニピュレーション」という良さが薄れてしまいました。
時々、光が2つになっちゃってたのも残念でしたね。


幕間 Pray Golph


ウソ発見器のサロンマジックでした。
滑舌が悪く、かなりの早口になっていて聞き取るのが難しかったです。
いつも思うことですが、ステージで演じるおしゃべりマジックはセリフに逃げるということでは有りません。
もう少し、喋る練習をしっかり行った方がいいと思います。
特に、お客さんの名前はしっかりと発音した方が良いです。
最後の方は、もう名前をちゃんと呼ぶことを諦めたのか「それでは、っざぁーさん、あなたが……」みたいになっていました。
非常に失礼ですね。
さて、ウソ発見器といえばオチのテンプレートが大体決まっている、初心者向けの手品です。
にもかかわらず、論理が大きく破綻していました。オチが付いていません。ひどい有様です。
「僕ってなんて天才なんだろう!」という発言が『嘘である』とは一体どういうことなんでしょう。
因果関係をしっかり成立させることができないのであれば、自分で無理に演出を考えないで、この辺りをしっかり考察できる人に脚本を頼んだ方が良かったのではないかと思いました。


5:Dawn


ミリオンカードなども交えた、ダブプロダクションでした。
最近の京大には無い大きな動きで、優雅に演じていました。今後に期待したいです。
後半、曲と演技の雰囲気が乖離しており、アンバランスな印象を受けました。ラストはなんとか間に合って良かったですね。
大舞台には不慣れな印象を受けましたが、その辺りもこれから経験を重ねることで解消されていくのだと思います。



第2部



1:Glass

グラスとキャンドルのプロダクションです。
失敗が多かったのは非常に残念ですね。
きっと、力を出しきれてはいないと思うので、何とも言いにくいです。
キャンドルに関して、火の点いたキャンドルが出現するのではなく、キャンドルだけ出してから火を点けるのは京大の慣例ですかね。
それはまあ良いとしても、飾るときに火を消して、飾ってからまた点けるのはどうなのかと思いました。


幕間 まくあい!


サロンで行うチャイナリングでした。
1回生でしょうか?喋りも拙く、とてもハラハラしました。
お客さんの中から小さなお子さんを舞台に上げていましたが、よくそんな子供を選べるなと驚きました。
凄くお利口さんな女の子で、特にトラブルなく終わっていましたが、これが一般的なやんちゃ坊主だったら事故が起きていたと思います。
また、リングの持ち方などの、子どもへの説明が下手過ぎて、子どもが困惑していました。
そこで笑いが起きていたのですが、自分の説明が原因で戸惑っている子どもを対象に観客から笑いが起きていること、これは子どもに対して大変失礼であり、またその子どもはとても恥ずかしく感じており、子どもが非常にかわいそうだと言うことを肝に銘じてほしいです。
この子どもはその照れをかわいらしさに変えられる子で、お客さんからの笑いも嘲笑ではなく「かわいいな」という微笑ましいものだったので、なんとか事なきを得たという状況でしたね。
何事もなく終えられたのが奇跡です。


2:Black Money


ジャンボコインを絡めたマネーの演技でした。
何か設定を付けていたつもりなのかも知れませんが、意味不明です。
ギャング風の格好でマイザーズドリームの演技。タイトルどおり、ダークなお金をモチーフにした演技かと思いました。
そこからジャンボコイン。この段階でお金ではなくなりました。
ジャンボコインのマニピュレーションから、お札のプロダクション。もう意味が分かりません。
そして最後はお札のファウンテン、で、その舞い上がったお札を放置して帰る演者。
本当に、何がしたかったのでしょうか。


3:三毛猫Balls!


音ゲーマーなら誰もが知っているあの曲に合わせた軽快な四つ玉です。
アップテンポで打点の多い曲ながら、なかなかしっかり合わせて決めてきました。
ただ、どうしても四つ玉の特性上、あまり頻繁に現象を起こすことができないため、無視される打点が多かったことが残念です。
曲やコンセプトありきでこの演技を作ったのであれば、なぜ四つ玉だったのか、というところが気になります。
シンブルやミリオンカードなら、後半でもっと多くの打点に対応した怒涛の現象を畳み掛けることができるのに、と思います。
それにしても、軽快で、楽しい演技でした。


幕間 奇妙な夕食


サイレントで行うギーク(悪食ショー)でした。
ちゃんとしたステージで演じられるギークを初めて見ました。
もともとはサーカスや見世物小屋の出し物として、グロテスクさを全面に出して見せられる演目であり、多くの演者がそうやって、どこか「気味の悪さ」を意識した演出で行っていると思います。
ですが、この演技はひたすら紙を食べるという演出で、その紙が色々な造型として表現され、グロテスクさよりもむしろコミカルさを全面に出した演出でした。
非常におもしろかったです。この演技だけで見にきた甲斐が有ったというものです。
パンフレットに幕間と書いて有ったのですが、ショーの中の色物演目なだけで、幕間ではないと思います。


4:Gentleman and Lady


フラッグのプロダクションでした。
のたりのたりと、順番に旗を出していくだけの演技で、特筆しておもしろい部分は有りませんでした。
旗を振る際に、上手く振れていないらしくどんどん旗が腕に絡まって行くのが、見ていて滑稽でした。


5:小さな宝物


シンブルのマニピュレーションでした。
京大の先人を倣ったようなアラカルトな演技でしたが、全体的に意味の分からない構成になっていました。
まだ、劣化コピーの域を出ないと思います。今後、自分の表現したい主題を見つけてそこに向かえるかどうかが大事でしょう。


6:夢見草


番傘や扇などといった和風の演技でした。
我流、独学の型を押しきったらこうなるのかといった動きで、なかなかツッコミどころが多かったようです。
刀のことが少し分かる知人は刀の仕舞い方を指摘し、演劇をやってる知人は殺陣を指摘していました。
枝みたいなものを取り出していたのですが、小さく地味で、全体的に不思議さに欠ける演技だったように感じます。
かと言って華やかだったかといえばそうではなく、なにかテーマを感じられたかといえばそうでもない、全体的にどっちつかずの演技でした。
また、これは演者の問題ではないのですが、パンフレットに2人の名前が書いてありました。しかしながら、最初に登場したのは1人。演技の途中で地面に置かれる大きな番傘……ああ、あそこから2人目が出てくるんだな、と容易に展開を予想してしまいました。
パンフレットの書き方で、演技の質を少し落としてしまっていたように思います。


司会


京大のNFなんかでよく見る、普通の司会さんでした。
毎度のことですが、アナウンスの日本語が間違ってるのはもはや京大語だと思った方が良いんですかね。


全体


この公演のタイトル、パンフの表紙には「The Secret Garden」と書いて有りますが、
1ページめくると「The Secret Garden 2012」となっています。
どっちが正解かと思ったら、司会の方は2012の方をアナウンスされました。
公演のタイトルぐらい、統一して欲しいです……

先にも述べたようにパンフレットでネタバレをしてしまっていたり、幕間をパンフレットに書いていたりと、もう少し書き方が工夫できたのではないかと思いました。
音響の編集や曲チェンジが雑なのは、そのあたりをしっかりできる技術を持った人がメンバーに居ないからなのでしょうか。もう少し気を遣うことで、演技の雰囲気がぐっと良くなると思います。

昨年と比べると、全体に妙なストーリーや設定を付けてしまって破綻する、ということがなく、単純に発表会形式で行われたのは良かったと思います。
公演の形式って、その団体に一番合ったスタイルが有ると思いますので。


最後に、タイトルの「The Secret Garden」なのですが……
まあ「Secret」は分かるとして、「Garden」要素が公演の中に見当たりませんでした。
最初は、フラワーがトリ演目だったりするのかな?と思ったのですが、そうでもなく。
辛うじて花?木?なんかは登場したのですが、「Garden」というほどでは有りませんでした。
本当に、帰り際まで何が「Garden」だったのか分からずじまいだったんですが……
後輩が気づきました。なるほど、この公演、会場の有る街(最寄り駅)が……


「花園」


だったんですね。 

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