2013年5月22日水曜日

レビュー「THIS IS 1T」


2012年3月17日に行われた、京都大学奇術研究会 第1回学外公演
「THIS IS 1T」のレビューです。





・開演前


まず、ホールでチケットを買ったら、並ばされます。
人が増えてくると、壁際に寄って2列で並ぶよう指示が入ります。

この段階で、何かがおかしいです。

というのも、僕は開場30分前に着いたんですね。 
30分間、途中で友人が来ても、喉が乾いても、列を乱さず壁に寄って並んでる人……
そんなおりこうさんな人、世の中にどのぐらいいるんでしょう。
今までどんな人間と触れ合ってきたらこんな指示ができるんでしょう。
事実、列はどんどん乱れます。そりゃそうです。
そしてそのたびに「2列になってください!」「壁に寄ってください!」の指示が入ります。

でもまあこれはチケットを早く買った人から順に入れるための配慮で、別に後から入りたい人は列を抜けても良かったんじゃないか?という意見もあるかもしれません。

僕もそう思いました。

なので、後から来る後輩と合流しようと思い、ロビーでパンフレット見てました。
すると、スーツのお兄さんが近づいてきまして
「すみません。こちらの公演の方はあちらに並んでください。」
30分、長かったです。

開演しますと、まずは司会のアナウンスが入ります。
明るい雰囲気のお兄さんで、注意事項などが告げられます。
好感の持てるアナウンスだなぁと思いながら聞いていました。
ただ「不思議な物語」が始まると言われたのですが、結果的に物語ではなかったです。
「物語」以外の表現もここから登場して、これらの文言に混乱してしまいました。
ここから、マジックショーの始まりです。


・オープニング


司会の人とは違うお兄さんが登場し、この舞台の物語を説明します。
が、ちょっと何言ってるかわからないです。
語尾が消えたり語頭の子音が消えたり、語尾上がりのクセがあって聞き取りにくいと言うこともありますが、それ以前にセリフの内容がてんやわんやしてます。
「マジックキャッスルへ案内します。」
「マジックキャッスルはもうありません。」
「マジックキャッスルは200年前になくなったんです。」
「でも、マジックキャッスルに伝わるこの不思議な懐中時計を使うと……」
ちょちょちょちょい待ってください。
Q1:マジックキャッスルって何ですか?
Q2:200年前に何があったんですか?
Q3:あなた誰ですか?
キリが無いです。
特にQ1の「マジックキャッスルとは何なのか」は、ここから先の世界観を決定する重要なポイントです。
ちなみにその謎は最後まで明かされません。
ここからの展開から予想しようにも、見事に言ってることがちぐはぐで、何も繋がりません。
ワケがわからないままストーリーが始まります。


1:イエローサブマリン(カップ&ボール)


不思議な懐中時計の力を見るために、まず、新聞紙の復活が行われます。時間が戻る演出です。
そして、その不思議な懐中時計で200年前のマジックキャッスルに行く前に……
「マジックキャッスルに伝わる不思議な道具」が出てきます。
曰く、「カップアンドボールに使われる物」だそうです。
言っちゃいました。カップアンドボールって言っちゃいました。
200年前に存在した「マジックキャッスル」は、どうやらマジックを見せる場所のようです。
そんなマジックキャッスルになぜ「時間を戻す懐中時計」というガチ不思議な物が伝わっているのか。
謎です。200年前のマジシャン怖い。
以下、200年前には存在しなかったはずの演目が登場しますが、それはまあ分かる人の突っ込みどころということで。
【手品について】
ツーカップの手順でした。ギミックは用いず、スライハンドに頼ったルーティーンです。良いと思います。
ただ、クロースアップをプロジェクターで映すタイプの演技なら、ギミックを使っても良かったんじゃないかなと思います。
というのも、使われていたスライハンド自体が全体的に「易しいもの」であり「不思議さも低いもの」だったのです。
できる範囲のスライハンドのみを使ったことで不思議さの低いカップアンドボールになってしまうなら、いっそギミックを使った方が不思議になったのではないかなと思います。
「こうやって、こうやって、こうしたらお客さんには消えたように見える」という技法だけでなく
「こうやって、こうやって、こうしたら←いやそれ無理だろ!」みたいなゴリゴリな技法も使って、スライハンドのみで不可能性を高めるのであれば、そこは好みの問題なので良いと思います。
あまり不思議ではない演技でした。


・ブリッジ


いよいよ不思議な懐中時計で200年前に連れていかれます。
リューズを片手で「ブリリッ!ブリブリッ!」と巻いて、暗転……
しばらく経って明転。いよいよマジックキャッスルの素晴らしい演技が見らr
「着いたようですね。」
お前かい!
暗転の使い方がひどすぎます。
暗転ブリッジのBGMも挟まず、ちょっとしたトラブルみたいになってました。
この段階で30分ぐらい経った気分でしたが、時計を見ると10分ぐらいしか経ってません。
「誰か来たようです。」
この人挟む必要無いですね。どうにかしてあげてください。
そしてその「誰か」、マジックキャッスルの主の登場です!
主「本日できたばかりの、この懐中時計を見せてあげよう。」
ちなみに↑この伏線は最後まで回収されません。
1つの時代に2つ存在してしまった不思議な懐中時計。
ストーリーに密接に関わってくるのかと思いきや、新しい方の懐中時計は使われすらしないです。
ここから、ステージ演目が順々に始まります。


2:燦然(ピラミッド)


パンフレットに「古典的な演目ですが……」とあるのですが、ピラミッドは古典じゃないですよ。
200年前にしてみたら相当革新的な演目だと思います。まだ考案されてないです。
【手品について】
NFの舞台ではそこそこ派手に見える物量を取り出していたのだと思いますが、ここではそうではないです。
大きな舞台の中に、ちまっとくす玉やシルクがディスプレイされる程度。
くす玉も、小さかったです。1個目なんて、出現の際の銀粉で見えなかったです。
ピラミッドの分裂は、やはり一般のお客様も頭に「?」を浮かべてましたね。悪い意味で。
この辺りを改善してくれるピラミッド演者が現れるのを切に願っています。
最後に出す四角錐のフレームモデルは強烈に謎です。悪い意味で。
不思議でもないですし、今まで側面が埋まっていたモデルのフレームだけの物が出るのですから、
もしかしたらサッカートリック的な意味での失敗なのかもしれないな、と思いました。
拍手していいのか怪しかったですが、暗転されたので急いで拍手しました。


・ブリッジ


「華やかな世界でしたね。」
またこの人が出てきました。
言ってることも意味が分かりません。
世界?今僕達が見たのは何かの世界だったの?
だとしたら、マジックキャッスルって何?マジックを見せる場所ではなかったの???
ここから2つの世界を続けて見せてくれるらしいので、おとなしく見ることにします。


3:favorite(ウォンド)


学生っぽいウォンドのマニピュレーションです。
これはもう、また別の機会でも書かせて頂くつもりなのですが……
赤→緑のカラーチェンジはやめてください!色弱にはなにやってるかわからないです!
お客さんは何人入ったんでしょうか。そのお客さんの40人に1人は現象が見えてないですよ。
僕も隣に座っている弟子による色の解説を聞きながら見させて頂きました。
このことはもっと周知してほしいです。天下の京大がこれをやったら興ざめです。
知識が足りない、勉強が足りないとしか思えないです。
【手品について】
もうちょっと手順構成を練った方が良いと思います。
要所要所、何がしたいのかわからない動きがあります。
また、ウォンドはスピード感のある出現・消失が一つの見どころなので、
せめて曲に合わせて動く、打点を合わせるぐらいはできるようになりましょう。


4:hit the jackpot!(マイザーズドリーム)


いわゆる1回生手順でのマイザーズドリームです。
まあ、頑張ってくださいとしか言い様がないですね。
ただ、1回生としては、悪くないと思います。
現段階でこの程度のレベルの演技しかできないのは、当然です。
総じて、この公演の1回生はかわいそうだったなと感じました。
どうしても技術のレベルが低くなってしまう1回生の演技を、演出や構成で何とか金の取れるレベルまで引き上げるのが、この公演での上回生の仕事だと思います。
ところが、金の取れるレベルはおろか、見せられるレベルかどうかも怪しかったです。
むしろ、演出や構成のせいで、技術力の低い1回生の演技がさらに見劣りするものにされてました。
これでは晒し者です。1回生達はこれにめげず、より高いレベルの演技を目指してほしいです。
【手品について】
マイザーズドリームですから、あの動きとあのタイミングは一致しないといけません。
それがずれていたので、なんともお粗末でした。練習頑張ってください。


5:M.S.K(マスク)


ここでやっぱり、あの人を挟みます。
「次はいよいよ、謎の男の登場です。」
あなたが謎ですけど。
いよいよって、僕はその人全く知らないですし。
マスクの演技は、なんだかストーリー仕立てになっている風の、筋の通らない演技でした。
色々もったいない演出が多かったです。SEを1つ追加するだけでも意味がわかったかもしれないのに。
手順構成も、四つ玉があったり、ナイフみたいなのが出てきたりと、やってることが無茶苦茶です。
マスク自体は浮遊がメインで、所謂関西のマスクマニピュレーションは行われませんでした。
技術自体は良かったと思うので、もうちょっと頭のいい人に演出を付けて貰って手順構成をすれば、良い演技になるのではないでしょうか。
いかんせん、その辺りが酷すぎました。
【手品について】
マスクについてぜひ勉強してほしいです。
手順構成についても、それはタネ明かしだろうという部分が多々ありました。
手順の都合上、何か「処理しなくてはいけないもの」が有ったとして、
「ああ、こうすれば楽に処理できるじゃないか!」という解決策が見つかったとして、
もう一度、そこで踏みとどまって、考えるクセを付けてみてはどうでしょうか。
その楽な処理方法は、ひょっとするとタネ明かしになるかもしれません。
難しい、めんどくさい方法でも、手品として正しい、演技の筋が通る方法を選ぶべきだと思います。


・司会


いきなり緞帳が閉まって、司会が登場します。休憩だそうです。
こちらとしては、頭をどう切り替えればいのか分かりません。
ここで第1部が終わります。

休憩も挟んだところで、後半と行きましょう。
と、そのまえに……


・司会


祝電が届いています。
この雰囲気で祝電ってのはなかなかシュール。
物語仕立てのショーにしたかったのであれば、完全にミスマッチです。
「祝電が届いています。」でお客さんの笑いが起きるのはおかしいですし、そんな空気にしたことが祝電を送ってくださった方々に対して失礼なのではないでしょうか。
そして「第2部の開幕です!」2回目です。
劇中の世界観に戻るタイミングを完全に失ってしまいました。
このままだらだらと、第2部が始まります。

では、第2部に移りたいと思います。


6:○○○(マイザーズドリーム)


マイザーズドリームです。デジャヴではないです。2つ目のマイザーズドリームです。
演者側に言わせれば、第1部とは違う演目なのでしょうか。
空中からコインを取り出して、帽子の中に入れていく演目。完全に一致です。
冒頭、ペットボトルの中に入っている液体を新聞紙に流し込み、液体が消失したかと思うと……
ジャーン!グラスでした-!!
新聞紙をどけると、裏に隠してあったグラスに液体が満ちています。
……手品ではないですね。
ジョークのつもりだったのでしょうか。それにしてもわかりにくすぎます。
グラスに入った液体を手の中に入れると、それがコインに変化します!
もはや脈絡がなくて、意味が分かりません。
ちなみに第1部、第2部ともに、コインというよりただの金属の円盤を使っていました。
第1部のマイザーズドリームは、お札の出現から繋げていたので、コインだということは一応伝わりました。(まあこれも、現象の大きさを考えると、順序が逆だと思うのですが……)
第2部のマイザーズドリームでは、それがお金であるという意味付けが一切なされていないので、あれではただの金属の円盤ですね。
たくさんコイン(?)を取り出した後、ジャンボコインが、出現します。
ここまで「新聞紙」「グラス」「帽子」「コイン」と、日常的なマテリアルで統一してきたのに、突然ジャンボコインという非日常的な物の登場です。
ジャンボコインの出現によって、さっきまで出現していた金属の円盤がコインであるという確信づけがなされたかのようにも思えるのですが、ジャンボコインなんてものが出てきたらもはやそれどころではないです。
あれは何?
あの人は誰?
何してるの?
初めから日常の世界観を持ち込まなければ、単なるマジックとしての示し方ができたのでしょうけれども、冒頭で日常のシーンを描写してしまったため、それもままならなくなりました。
全てがつながっていない演技でした。
【手品について】
技術自体はそれなりにある演者だと思います。
ただ、ジャンボコインの扱いが非常に雑な印象でした。
消失や出現、飛行などの現象は、1つ1つを丁寧に示さないと、何をしているのかわかりにくいです。
パッパッと立て続けに起こるのもおもしろいのですが、もっと丁寧に見せる部分も作ったほうが良かったと思います。
特に、ジャンボコインが空中から無限に出現して、次々に帽子に入れる場面。あれは、雑すぎてタネ明かしというか、タネ明かしによるコメディというか、そんな風に見られました。
もったいないです。自分が起こしている現象をもっと大事にしてあげてください。


・ブリッジ


やはり第2部でもあの人が進行役を務めるそうです。
「ここからは3つの不思議な世界を続けてお見せいたします。」
期待。
「特に1つ目は、ちょっと変わった世界です。」
超期待。


7:Fan-ta-stick!!(ジャグリング)


ライトスタッフ、皿回し、デビルスティックを行うジャグリングでした。
不思議さは、無いです。
どう考えても不思議な世界ではないです。
まあ強いて言えばこの人自身が不思議だったかもしれません。
ライトスタッフの段階でドロップ、お客さんからの笑い声という展開。
しかしそこから演者さんは、信じられない行動に出ます。
突如演者さんが喋り出したかと思うと、客電が付き、演者さんが、客席にやって来ました。
そして、お客さんにも手伝って貰って、皿回しを行うと言うのです。
この段階で、皿回しのお皿を2回ドロップ。
客席のど真ん中で、ドロップ多数のジャグラーが、皿回しです。
さっき笑ったお客さんへの復讐でしょうか。
僕のところには来なかったので、一安心です。
皿回しの棒の長さを通常の3倍まで伸ばし、顎に乗せてのバランス芸です。
お客さんの顔がひきつっていました。
ラストは若干ドロップしていたものの、なんとかフォローできていたと思います。
お皿がマイクに当たったらしく「ドガッギャン!」って鳴ってましたが、大丈夫でしょうか?
そして演者さんは舞台上へ帰って行きましたとさ……
からの、デビルスティックです。
もうやめとき……成功したとこで終わっとき……アンタまた失敗するで……
そんな空気が客席を包みます。
案の定、デビルスティック何回もドロップ、手に持ってるスティックの方までドロップ。
ジャグリングは、何回もドロップすると、もう取り返しがつかないですね。
「ふう、大丈夫ですよ。」みたいな顔をされても、大丈夫なワケないのがまる分かりです。
終始ヒヤヒヤでした。
この演技、この演出でOKを出したショーの総合演出さんの意図が分かりません。
完全に晒し者でした。まだ1回生ということで、かわいそうに感じました。

この段階で、客電が着いたり、演者が客席に来たり、お客さんに手伝ってもらったり。
ただでさえ希薄な世界観が完全に崩壊した瞬間でした。
もう何がなんだか分かりません。


8:Let's play billiards!(四つ玉)


1回生による四つ玉です。
今更な感じもするのですが、レンガ模様の台はどういう意味があるのでしょう。ただのデザイン?
今後、そういった部分も自分流にアレンジできる力が付くと良いと思います。
【手品について】
安定していました。
ですが、やはり手順の中に何をやっているのか分からないところが多々見られます。
難しいことを行うための準備として、多少筋の通らない動きが入ってしまうことは仕方ないと思います。
そういった部分に関して、贅肉を落とした手順が組めるようになるとベターかなと思います。


9:Ein Traum…(ゾンビボール)


1回生によるゾンビボールです。
非常に安定していました。僕が1回生の頃に習った手順とほぼ同じだったので、懐かしかったです。
示し方、見せ方などを工夫していけば、更に良くなると思います。
ちなみに、進行役のよく分からない講釈がこのあたり一番かかっておらず、気が散らずに見ることができました。
【手品について】
マイムであったり、ちょっとした手の動きを更に洗練することで、もっと良くなると思います。
これでゾンビをやめるのはもったいないと思いますので、ぜひ頑張って欲しいです。


・ブリッジ


「残り時間もわずかとなってきました。」
このシステムが全く分からない。時間制だったんですね。
残り時間がなくなると、どうなるんですか?
不安なまま、次の演技に進みます。


10:joy(シンブル)


おなじみの演者さんによるシンブルです。
やはり、この大舞台でシンブルは厳しいものがありますね。ちゃんと見えませんでした。
この「そもそも道具が見えない」というのはシンブル演者がずっと悩み続けている部分だと思います。
しかしながら、この演者さんのスタイルは西日本学生奇術におけるシンブルの可能性を模索し続けた結果の1つだと思います。
これが「ステージにおけるシンブルの答え」とは言えませんが、阪大の雨堤さん、四国の黒川くんに続いて「学生のステージにおけるシンブルのスタンダード」を考える上で、西日本の学生奇術に爪痕を残したと思います。
【手品について】
技術や示し方はとても良かったと思います。
ちょっとだけコメント入れると、花とシンブルのどっちのほうがこの演者にとって「良いもの」なのかがはっきりしませんでした。
決して設定を付けるべきだとかそういうわけではなく、どっちのほうが強い現象か、どっちのほうがクライマックスなのか、と言い換えてもいいかもしれません。
花→もいでシンブル→から花→が散ってシンブル
の流れで、ちょっと感動しにくかった、どこで感動すれば良いのか分からなかった部分があります。
少しずつでも現象のインパクトが上昇していき、クライマックスに持っていける手順になると、非常に感動的な演技にできると思います。


・ブリッジ


「ここまでの旅をふりかえってみましょう。」
え……?
一瞬何を言ってるのか分かりませんでした。
「最初は、華やかな世界でしたね。」
……
「謎の男が……」
ちょ、ちょっと!
「華麗なボールさばき。」
やめて!
「銀の玉の浮遊。」
誰か止めて!
「僕のカップアンドボールも忘れないでくださいよぅ。」
……これ、要る???
この段階で、これまでの演技を振り返る必要がどこにあるんでしょう。
恐ろしく興ざめです。
今回最もひどかったポイントはここだと思います。
ちなみにこのあと、トリ演者までの暗転が異常に長かったのですが、これはさすがになにかトラブルがあったんでしょう。


11:Magic Castle~魔法の城へようこそ~(グラス)


トリのグラスです。アンタイで見た演技を少し変えたものになっていました。
やはり大舞台での立ち回りは苦手なようで、今後の課題になるんだろうなと思います。
【手品について】
手順の問題になるのですが、要所要所、筋の通し方が甘いです。
例えば、カラーカクテルなんかがそうですね。
赤い液体→青い花びらでおまじない→次に注ぐと青い液体→次に注ぐと黄色い液体
青い液体から黄色い液体の間に1つプロセスが抜けていますね。
こういったところのツメの甘さは、演技全体の筋を破綻させます。
また剣の出現は、なぜわざわざ立て掛けてあった剣をスチールしてきたのでしょうか。
瞬間移動にしては示し方がまったりで、「いつの間に」的な現象にしてはその前段階で剣を示していません。
特に意味がないのなら、単純に剣の出現にした方が良かったのでは、と思います。
ちょっと意図が汲み取れなかった部分です。
設定や意味をつけるならしっかりと、筋の通った演技にして欲しいところです。
そうでないなら、単純なグラスの演技の方が無難だと思います。


・エンディング


緞帳が閉まってから、あの人が出てきて「そろそろ時間です。」的なことを言います。
ここまで、緞帳の手前側が現実世界、緞帳の奥が劇の中の世界、それを司会とストーリーテラーで分けることで表現しているのだと思って、何度もお客さんに現実と劇中をいったり来たりさせる演出を解釈していたのですが……
いよいよ劇の中の人が緞帳のこっち側に出てきました。
第4の壁などもはやどこかにいってしまったようです。
「名残惜しいですが……」と、懐中時計のリューズを巻きます。
「ブリリッ!ブリブリッ!」と音がして、時計の音(どう聞いても手巻式懐中時計の音ではない)がなり、暗転します。
……ん、ちょっと待って?その懐中時計を巻くと、時間が巻き戻るんじゃないの??
もう200年タイムスリップですか!?僕達を現実世界に帰してください!!

で、終わります。まさかの自体です。僕達は結局どうなったんでしょう。


・司会


さっきの人が引っ込んだら、今度は司会さんが出てきます。
そこで、賛助会のお知らせです。
お客さんがすごくドヨドヨ笑っていました。


・カーテンコール


演者さんが順番に出てきます。
ネタをやってるのかやってないのかよく分からない、中途半端な雰囲気でぐだぐだしていました。
さっきの司会の段階でもう順番に帰ってるお客さんも出始めているので、劇場全体がぐだぐだしていました。
そんな感じで、ショーが終わりました。


~全体を通して~


城というテーマだったそうですが、何も統一されておらず、終始よく分からない展開でした。
手品のレベルやボリュームはというと、1回生が多いこともありちょっと残念。
上回生でも変に設定を付けて破綻した演技が多々あり、底上げにはつながらなかったと思います。
最後4人(四つ玉、ゾンビ、シンブル、グラス)がなんとか引っ張り上げて、なんとかそれなりまで持ってきた印象。
それでも、お金をとれるショーには程遠かったと思います。
ショー全体に上手く演出を付けると、そんなに上手でない演者さんも引っ張り上げて、全体を通して良いショーに持ちあげることもできるのですが、今回はまるっきり逆でした。
筋の通らないストーリーや破綻した設定が、1回生などまだレベルの高くない演者さんを更に突き落としてしまったような印象です。
せめて、ちゃんと筋の通った脚本が有ればよかったと思うのですが、書ける人が居なかったのでしょうか。ストーリーの破綻に気付ける人が居なかったのでしょうか。
筋を通すことができないのであれば、単純な発表会にした方が良かったのではないかと思います。

第1回学外公演ということで、色々と苦労されたことだろうと思います。また、この公演で多くの反省が得られたことだろうと思います。
第2回学外公演で、どれだけ改善されるか楽しみに思っています。
お疲れ様でした。


最後に


「THIS IS 1T」というタイトルの読み方が分かりません。
一応僕の周りはみんな「でぃすいずいちと」って読んでました。

0 件のコメント:

コメントを投稿