2013年5月22日水曜日

レビュー「超魅了マジックソルト」



2012年5月12日に行われた、マジックソルトによる舞台の感想です。





例の如く、思ったとおり書かせていただきますね。
今回はなんと一緒に見に行った、マジックショーをほとんど見たことない新入生による
フレッシュな意見も紹介していきたいと思います。


~第1部~


「白玉ぜんざい」 (和妻・傘)


和傘を中心とした和妻の演技でした。
客席との距離の関係か、いろいろな物が見えてしまっていました。
動きもぎこちなく、テンポよく出せばビジュアルに出現するだろうものも、もっさりと出てきてしまっていて残念でした。
動きの「型」が見栄えに直結するような演技だからこそ、動き一つ一つにもっと気を使ってほしかったです。一つ一つの動きが雑で、決して見栄えのいいものではありませんでした。
新入生は「最初からいっぱい散らかすなぁ……」と言っていました。


「R255,G255,B255」(アラカルト)


白でテーマを統一したものの、筋の通っていないアラカルトでした。
四つ玉やウォンドやチョークトークを無理やり組み合わせた感じで、それぞれの演目を知らない人には何がしたいのかすら分からないと思います。
絵から物が出てきたり、その形が変わったりという部分は白というテーマの中でうまく考えていたと思いますが、そうやって出てきた玉や棒が増える意味が分かりません。
それをはじめとして、この演者さんは自分が行っている現象をよく理解していないのでは無いかと感じられました。
たとえば、ボールが消えて絵に戻るというシーンがあったのですが、ボールが消えるときに白い紙ふぶきに変化させていました。これではボールは紙ふぶきに「変化」したのであって、じゃあ絵に出てきた白い丸は何なのか?ということになってしまいます。
そういった意味でもう一度自分の行っている手品が「いったい何をしているのか」を考え直し、せめて説明できるよう練習してはどうかなと思います。もしくは、そういった構成をするという意味でもう少し頭の使える人に構成を任せても良いかもしれません。
2番手、いわゆる「シバリ」の出順なのに最後に「END」を出すのはどうかと思いました。出順構成ミスだと思います。


「R2MC」(ミリオンカード)


どっしりと構えて安定した動きのミリオンカードでした。
すばらしかったと思います。衰えを見せない演技で、終始落ち着いてみることができました。
新入生に「今回のショーで一番良かったのはどれ?」と聞くと、この演技だと答えていました。


「マジカルメロディー」(ダブなど)


ふにゃふにゃと挙動不審な動きの中で、ウォンドなどを交えながら行われる鳩の演技でした。
指揮者のつもりでウォンドを振っていたのかもしれませんが、振り方もデタラメで、リズム感も皆無です。挙動不審なだけになっていました。
白いウォンドということで「R255,G255,B255」と被っている部分も多かったのですが、双方ともに技法のクオリティが甘すぎます。白いがゆえ余計に、出現の軌道が見えています。
鳩はきれいに出ていましたのですが、ほかの部分で非常に残念な印象になった演技です。


~第2部~



「the magical ink」(クロースアップ)


スクリーンを用いたクロースアップで、メインはオイルアンドウォーターでした。
手品としてはさすがの完成度で、とても不思議だったと思います。
ただ、全体に設定をつけて演技されていましたが、その設定に不備が多くて突っ込みたくなる内容でした。
「水のカード」と「油のカード」という表現をしていましたが、ずっと油が水に沈んでいたのでなんだかソワソワしてしまいます。
「油のカード」ではなく「インクのカード」という表現もされていましたが、それだと普通に混ざるんじゃないかな?と思います。
そして一貫してその話だったのに、オイルアンドウォーターの最後の現象だけ、右手と左手に分離するというもの。ここまで話を統一したのなら、最後ぐらいはせめて筋を通してほしかったです。
エンターテイメントとして面白かったかといえば、眠かったです。しかしそれは、ステージショーの中に組み込まれるという、クロースアップとしてはあまり望ましくない形での発表であったことが大きいかなと思います。
クリエイターとしての今後の活躍に期待しています。


「功夫扇」(中華扇)


3月の舞台でも一緒に立った方の、中華扇の演技です。
ノリがよく賑やかで、舞台全体を楽しい雰囲気にしてくれるパフォーマンスだったと思います。
ただ、舞台の角度の関係からかロードの雑さが目立ち、不思議さとしてはいまひとつだった気がします。
また、3月の舞台では「スターになりたいと願う人」というキャラクターで行われた演技でしたが、今回はそういったバックグラウンドなしで行われた演技ということで、演技中の行き過ぎた挑発がお客さんをバカにしているようにも見えます。人によっては不快に感じるのではないかな、と懸念される演技でした。


「joy」(シンブル・フラワー)


何度も拝見しているシンブルの演技です。
西日本のシンブルに一つの新しい可能性を作った演者だと思っています。
これが果たして面白いのか、やりたいと思う演者が現れるのか、今後発展していくのかは、この日に見にきた後輩や新入生たちにどう伝わったかによると思います。
誰にも真似されず、本人も演技をやめてしまって、シンブルのこの流れが途絶えてしまえば、まあそれまでの演技だったということでしょう。
継続は力なりで、西日本のシンブルの可能性にずっと力を尽くしてきた姿勢は本当に尊敬します。
ちなみに新入生は「何をしているのかまったくワケが分からなかった。」と言っていました。


「でぃーでぃーまどろーば!!」(スケッチブック)


スケッチブックを用いたサイレントのチョークトークです。
コミカルでテンポのいい演技で、本当に楽しむことができました。
ちょっと見えてしまっている部分があったり、スケッチブックの面白グッズ的な演技に見えたり、「いつの間に!」的な演出が割と表に打ち出されていたりと、手品として不思議かと聞かれれば疑問な部分もあります。
しかしながら、エンターテイメントとしては本当にすばらしく、いろいろな所で発信してほしいなと感じられる演技でした。
パントマイムが下手なことだけが残念です。他がすばらしい分、誰かパントマイムの師匠について習うのも価値があるんじゃないかなと思いました。


「Pinsel, Color, and Artist!!」(ミリオンカード)


カラーカードを用いたミリオンカードでした。
色を使って絵をどんどん完成させていくという演出です。
技術的にも、テンポも、雰囲気も非常に良く、力のある演者であることが確信できます。
しかしながらやはり設定に筋の通らない部分があり、非常に気になりました。
塗った色がまた消えたり、ペンキ缶に色の違うカードを捨てたり……肝心の絵も抽象的で、何をもって完成なのかが分かりませんでした。
カラーカードを撒き散らす場面も、色に注意しないと種明かしになってしまうと思います。もっともこれは、きっと演者本人も悩んだ末の妥協点なんだろうなと思います。
途中での曲チェンジが雑で、曲としてうまく繋がっていない曲に突然変わったため何事かと重いました。sing sing singつながりなんだと思いますが、そういうことではありません。曲チェンジで選ぶ曲や、つなぎ方、つなぐポイントって、そう安直に選んでうまくいくものでもないでしょう。
準備時間の不足や、ルーティーンのマイナーチェンジを行う上でどうしても現れる制約のきつさから、なんとか演技が成り立つ妥協点を選んだのだと思いますが、見ていて曲が変わるポイントで一気に演技の世界から我に帰ってしまい、非常に残念でした。
すばらしいですが、まだまだ未完成の演技なんだと思います。ぜひいつかこのアクトの完成系を見てみたいと思いました。


~その他~



「司会」


明るい雰囲気でがんばって司会をしていましたが、祝電を床に置いたり、客や演者をバカにするような発言、笑い方をしていて、好感が持てる司会ではありませんでした。
もうちょっと、お客さんに楽しんでもらう姿勢を考えた方が良いと思います。
新入生は「鼻につく。いらいらする。」と言っていました。


「全体構成」


今回最も問題があったのが、この部分だと思います。
司会を挟むごとに前の演技の復習をしたり、お客さんに感想を聞いたりと、冗長の極みです。
また、ビンゴを挟んでいたためその度に客電がつくのも、疲れる要因になりました。
非常に長く感じられる、退屈な構成だったと思います。
さてビンゴですが、「当たった人には豪華賞品として○○を差し上げます!」って賞品を見せておいて、最後に全員が同時に当たるというオチで「全員正解なんでこの賞品は私がもらいますね!アハハ!!」って、何を考えているのか構成した人の神経を疑います。
正直ビンゴを受け取った時点でそのオチはある程度読めてしまう、時間稼ぎのお遊び的なものだったの思います。
ですが、本気で賞品を期待していた子どもや他のお客さんは、このビンゴでどういう思いをしたでしょうか。
本当にお客さんに楽しんでもらう気があるのか、まずそこから疑問です。
個々の演技の良し悪しがどうあれ、この演出でショー全体の感想が「不愉快なもの」「残念」「悲しかった」に変わってしまうレベルで悪質な演出だと感じました。
今後継続してショーを行うのであれば、ここだけはもう一度しっかり考え直して、お客さんに楽しんでもらえるショーを作っていって欲しいです。


「パンフレット等」


ホームページ、パンフレットともに、誤字等が多すぎます。ホームページでは開催日の間違いに始まり、代表者の連絡先メールアドレスの間違い、大学名の漢字間違い、パンフレットにも同じ人の名前が異なる漢字で2つ載っています。「今宵」って、公演は昼です。
ここを怠ると、重大なミスに繋がったり、誰かに対して非常に失礼な態度と見られたりしてしまいます。確認はしっかり行いましょう。

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