レビュー「マジシャンになりたいアリスのために」

マジックマーケット2023春【アリヌの奇妙なお店】「マジシャンになりたいアリスのために」のレビューです。

アリスさんは他に類を見ない強烈なマジシャンさんで、文章力が怪物級だと私の中で話題です。
ご存じない方は一度、アリスさんの公式noteのトップ記事を読んでみてください。後悔すると思います。

そんなアリスさんの随筆ということで、わくわくしながら読みました。
素晴らしい完成度で具合が悪くなりました。

本当にすごい。表紙を入れて8ページほどの短い内容ですが、想像以上に濃厚で、かなりの分量を読んだような満足感がありました。まあそれは単に2段組みだったからかもしれません。

マジケで買い逃した方にも読んで欲しいので、再販に期待しています。
ひょっとしてもう再販しているのでは？と思ってアリスさんの公式オンラインショップを覗いてみたのですが、3回見たら死ぬ熊みたいなデザインのシャツが4種類売られているだけでした。
よく見るとそれは熊ではなく、まつたけ歯茎という生き物らしいです。慣れるとかわいいですね。シャツは全部売り切れでした。

本文中でキルケゴールに触れられています。私も昔読みました。キルケゴールを読むというのはマジシャンあるあるなのでしょうか。
そういう内容ですから、本文の節々に絶望が見られ、やるせなさを加速させています。アリスさんは絶望を売るのが上手いのかもしれませんね。キルケゴールと同じ商売をしている。

全体的に、すごい迫力でした。陰々滅々とした読後感に見舞われたい人におすすめです。
本当はマジケ期間中にレビューを書いておすすめしたかったのですが、咀嚼しているうちにマジケが終わってしまいました。そんなスピードで感想が書けるような代物ではないので、仕方ないですね。
続編にも期待しています。