2023年5月31日水曜日

レビュー『Letters From Juan Volume 2』

Juan Tamariz 『Letters From Juan Volume 2』 のレビューです。

タマリッツの新作が読める小冊子シリーズの第2巻です。
第1巻のレビューはこちらです。

・Decrypting
暗号っぽい感じでお客さんの個人情報を当てるカードマジックです。
事前準備がハードル高い感じがしますが、そこさえクリアすれば割とカジュアルにも演じられる作品だと思います。
終わり方の演出なども含めて、思ったより割とかわいらしい手品かもしれないです。
日本語で演じるのはちょっと工夫すべき部分が多くて大変かも。

・Suicide Poker
ポーカーデモンストレーションです。
最初は、技法で正面突破する感じの手順だなと思ったのですが、よく考えると、怪しい動きをするときにはすべての準備が終わっている感じで、割と賢い手順かもしれません。
でも簡単ではないですね。ちょっと大変そう。

・A Suit to Order
お客さんの選んだカードが良い感じの順に並びます。
そう難しいことをせずにゴツめのクライマックスに着地できて、演者によっては使い勝手が良さそうです。
途中で結構ごちゃごちゃした空気になってしまいそうなので、その辺を上手にやって、間延びした雰囲気からのクライマックスでドーンという具合に上手く繋げられるようにしないとな、と思います。

・Progressive Color Change
徐々に変化するカードです。
特殊なカードを使いますが、なんと付いてきます。オマケつきのお手紙。
これは好きです。現象は面白いですし、途中の細かい動きも勉強になります。
古き良きパケットトリックに浸かってきた身としては、特殊なカードのほうを工夫すればもう少し楽になるのでは?とも思うのですが、これはこれで良い手順だと思います。
このカードは他のことにも使えそうで、なんとなく夢が広がりますね。

・Impromptu Double Flying
ネモニカスタックを使った別の手順「Flying Through Thin Air」の、即興バージョンです。
ネモニカ読んでないんだよな……と思ったのですが、なんとなく知っている手品で、思い出してみるとネモニカ・ミラクルズで見たやつでした。
原案を知らずにこちらだけを読むと、もうこれで完成した手順だしネモニカスタック使う必要などないのでは?と思ってしまいそうですが、ネモニカ・ミラクルズで原案の実演を見ると、それはもうえげつないくらいに不思議です。
なので、こちらの改案を知った上で、あえてネモニカスタックを使って原案を演じる価値はあると思います。
一方こちらの改案は、単に原案を簡略化しただけでなく追加的な要素もあって、ネモニカスタックを使わないことによる利点をきちんと活かした改案になっています。
原案も改案もどちらも名作です。原案の要素を削る形の改案はどうあるべきかが学べました。

日本国内だとMAJIONで取り扱っています。
ネモニカ・ミラクルズはスクリプト・マヌーヴァでダウンロード版が買えるようです。
本のほうのネモニカは、MAJIONでは売り切れでしたが国内にまだちらほら売っているショップは残っているみたいです。

で、もう第3巻が出ています。早い。
MAJIONで取り扱い始めたら買うことにします。

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