2013年5月22日水曜日

レビュー「Digital Day Dream」


2011年5月28日
同志社大学マジック&ジャグリングサークルHocus-Pocus 5月ステージ       
『Digital Day Dream』 のレビューです。



~あらすじ~ 
今回のステージのテーマは最近話題の「3D」です。 
ある大学生が友人の家にDVDをもって遊びにきた。タイトルは『Digital Day Dream』。それは3D映像でマジックやジャグリングが楽しめるというものだった。初めて見る飛び出る映像に興奮する二人。みなさんも彼らと一緒にその DVDをご覧になりませんか? 

*注意* 
本物の3D映像は上映されません。 


感想を書き綴りたいと思います。
いつも通り、思ったことをつらつら書いていきます。

1人目 ボールトスジャグリング


見た感じ、新人さんかな?曲にあまり合わせられていませんでした。
や、打点やリズムは合っているんですが、曲と雰囲気を合わせられていません。マッチしてなかったです。
しかしながら、学生マジシャンには打点すら合わせられない演者さんが多くいますから、その点考えると非常によくできていたと思います。
基本はできていると思うので、あとは打点に+αしてアピールポイントの研磨と、曲や照明と演技を合わせられるよう努力したら良いと思います。


2人目 ゾンビボール


昨年から注目の若手である彼のゾンビボール。7月末の舞台ではまたお世話になります。
ゾンビボールはやはり身一つで動くフットワークの軽さが便利ですね。
演目の特性をよく活かすことが出来た、ベターな演技だったと思います。
以前のアクトに加えてオチを付けていました。ちょっと演技としてのボリュームはアップしましたね。
ですが、そのオチが加わったことで演技全体を包み込んでいた均衡、空気が乱れました。
あのヒガンバナはどういう意味だったんだろう?このキャラクターは何物だったんだろう?
抽象的な世界観を表現していた演技に、オチとして意味のある具体物が出てきたため、そこで流れが止まりました。
何となく不思議な世界観で終われない、もやもやする、腑に落ちない演技になってしまった気がします。
あくまで私の主観です。ボリュームを取るか意味を取るか、難しいところだと思うので、ぜひもう一度考えてみてほしいです。


3人目 ライトポイ


安定の演技。彼女も初舞台からバリバリ活躍している印象の一人です。
ジャグラーの雄、局長さんとのコンビでしばらく演技を拝見していましたが、今回はソロでのアクトです。
とても上手で、世界に引き込まれました。
惜しかったのが、音響ですね。繋ぎが雑です。
1曲目から2曲目へのフェードがざっくりとしすぎていて、興ざめしました。
全体で良い雰囲気を作っていただけになんとなく残念です。
もしかしたら2曲を、演技きっかけにスタッフさんが繋いだのかもしれません。
多くは語りませんが、ボードビルショーの多くの演技は、そうしない方がいいですよ。
演技に合わせて曲を動かすのではなく、曲に合わせて演者が動くのが大前提だと思いましょう。
あくまで、私の感覚ですが。


4人目 リング


もったいないっっ!
指導者がいなかったのでしょうか。ものすごく良いものを持っている演者だと感じたので、尚更残念です。
3本リングを自分で選択したのかも危ういです。彼のポテンシャルなら4本、5本の手順を見ていればそっちを選んだのではないでしょうか。
誰かに付けばもっと良くなる演者でしょう。なんなら教えます。
それ以外に、演出など他の部分で問題もちらほら。
リングをやるのに光り物の衣装はNG、目潰し照明なんて論外です。
2回生ということで彼自身にそれを求めるのは酷だと思います。
ですが、そんな基本的なことに誰もつっこまなかったのでしょうか?
舞台の基本を知ってる者がサークルに1人もいなかったのでしょうか?
そう思ってしまう演出でした。うーん……

5人目 クラブジャグリング


安定の演技。しっかりパフォーマンスしていました。
お客さんも巻き込んで楽しい雰囲気にすることのできる、素敵な演技です。
ブリッジも、どちらかといえば脇役でしたが、しっかり脇役をこなしていました。
マジシャンやジャグラーで脇役できる役者って、貴重だと思います。
たいてい、アクの強いキャラクターになっちゃいますからね。
ブリッジでは影に徹し、パフォーマンスではしっかり個性を発揮できる。
実力派の演者だなと感じました。


6人目 シガーボックス


Hocus-Pocus現在の会長さん。
貫禄の演技です。彼は入部したときからものすごいポテンシャルを発揮していました。
今回はブリッジでの主人公と、トリという大役を演じきっていました。
ブリッジではサイレントで凄まじい演技力を見せてくれました。
パフォーマンスは、もう言うことなしです。圧倒されます。トリにふさわしい演技でした。
全体構成の中では冗長な表現やダレる演出も多くあったのですが、全ては彼がカバーしたといっても過言ではないでしょう。
彼ありきの舞台だったと思います。面白かったです!勉強になりました!


全体


昨年の本公演?ではなんとも色々コメントさせていただきましたが……
今回は、素晴らしいストーリー構成でした。
オチはシュールでしたが、役者の演技がそれを上手くコメディに変え、エンターテイメントショーとして楽しいものにしていました。
こんな演出できる方がメンバーにいることを大事にして、これからのショーも作っていって欲しいです。
コンセプト上、映像を演出として使っていたのですが、その映像の中身は多少残念でした。
なんというか、映像製作者はこれが今回の舞台演出として使われるということを知らなかったのかな?という印象を受けてしまいました。
全体的に映像が長いですし、そこに起伏がなく、ただなんとなくかっこいいような気がするだけの映像が淡々と続くという、冗長なものでした。
正直、オープニングの途中で帰ろうかと思いました。
映像の内容が舞台の内容と特に関係がなかったのも残念です。
なぜ歯車なんていうアナログなモチーフを選んだのでしょうか?
DVDという設定ならもっとデジタルなものの方が納得できる気がします。

総じて、全体として筋の通った、それでいて演技のクオリティが高い、とても面白いステージでした!
ボリュームは少なめでしたが、5月公演ではこのぐらいがちょうど良いと思います。充分楽しめました。
今までネックだった、カーテンコールがなくていつ終わったのか分からないという問題も、映像を使ったことで上手くクリアしていました。
音響の繋ぎ、照明や衣装、映像の中身などで所々’雑’な印象は受けましたが、全体的にHocus-Pocusの進化を感じる、素晴らしいステージだったと思います。
次の舞台もぜひ見にいきたいと思います。

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