学生マジシャンに読んでほしいこの10冊、8冊目は児童心理学について。
この辺りから、ちょっと小難しい学術的な内容が続きます。
児童心理学入門
村田孝次 著
培風館
¥1,890
培風館
¥1,890
かつて児童心理学に関する本として、ピアジェの文庫本を紹介したことがありました。
しかし、それだと他の学者の考え方が取り入れられないので、もう少し広い範囲をカバーした本を改めて紹介します。
表紙の見た目はがっつり専門書な感じですが、中身は図が多く、体系的にまとめられているので非常に読みやすい本です。
~キッズショーで大切なこと~
学生マジシャンって、営業で幼稚園や子供会で演技をすることも多いと思います。
でも、よく考えてみれば学生マジシャンが大学のサークル発表会でやる演技と、子供会で子ども相手に演じる演技って、はるかにかけ離れていますよね。子ども相手のマジック、ちゃんと学べてる学生マジシャンってどのぐらいいるのでしょうか?
例えば、小さな子どもが一番初めに理解することができるようになる手品の現象は「出現」です。これは経験からご存知の方も多いでしょう。では、「出現」の次に理解できるようになる現象は何でしょうか?
答えの1つとして、「カラーチェンジ」が挙げられます。
または、新聞紙の復活なんてのも早い段階で理解できます。
リングが繋がるのも、思いのほか早い段階で理解できるんですね。ただこの場合はカラーチェンジと違って、手品として理解できてるかは怪しいところです。
消失は、小さな子ども相手には難しいと思います。非常に理解しにくい上、気をつけないといけない現象の一つです。ものが「消える」という現象はけっこう理解しにくいもので、「隠れてしまった」と理解してしまいます。すると小さな幼児にとっては、どこにいったんだろう、探さないと、と不安や不快感を煽ることとなってしまいます。
もう少し発達が進むと、それはそれでアニミズムという感覚が生まれます。詳しくは本著を読んで頂ければ良いのですが、これも消失現象をするなら気をつけないといけない原因の1つです。特に、鳩出しが非常に盛り上がったからといって、鳩消しを安易に手順に取り入れると危険である、というところに繋がります。
あと、当たり前の話なんですが極度に緊張させた後にホッとさせる類の現象もタブーです。腕ギロチンなんかがそうですね。緊張で体調を崩す子どもは少なくないですから。
「小さな子ども相手に消失のマジックしたら「なんで?」「どこ行ったの?」って反応をしてくれた。」という方。それ、場合によっては不思議に思って楽しんでるんじゃなくて、不安になってるんです。
「バンクナイトなどお金を掛ける類のマジックしたら、真剣にじっと見てくれていた。」という方。子どもによっては心配になって気が気じゃないんです。
「ヘッドレスクイーン(頭に剣をさすイリュージョン)をしたら、キャッキャと盛り上がった。」という方。それって怖がってるんじゃないでしょうか?
小さな子ども相手のマジックは、ちょっとした知識や配慮のなさから、子どもの将来にとんでもないトラウマを残してしまう可能性が有る難しいジャンルなんです。
でも逆に言えば、上手くショーを構成することができれば、子どもにとって一生記憶に残る素晴らしい思い出をプレゼントすることができるジャンルでもあります。
ぜひ児童心理学の正しい知識を付けて、マジックを通して子どもたちにいっぱい夢を与えてください。
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